魔法騎士レイアース
95.9.29 トミー
【とまぁ〜〜らぁない〜〜〜〜♪みーらーいをぉ〜〜〜♪んめざぁしてぇ〜〜〜♪】 かつて女児童だったテレビの前の皆様、コンニチワ。 どうも、皇昴(すめらぎ すばる)です。 ダバコを吸ったら、たぶん霊力上がります。 KENTとマイルドセブンを吸いますが、ぶっちゃけ銘柄は何でもいい派です。 好きな人が吸ってたタバコは、セブンスターです。 と、わかる人にしかわからないCLAMPネタで切り出してみました。 それはさておき「魔法騎士レイアース」であります。 講談社が誇る児童誌「なかよし」誌上で、90年代半ばに掲載されてたCLAMPのマンガです。 テレビアニメも日テレ系のゴールデンタイムに放映されてました。 ちなみに「魔法騎士」は「マジックナイト」と読みます。 「まほうきし」と読んではいけません。 以後、よろしくお願いします。 そんな本作「魔法騎士レイアース」は、 アニメが放映されてた最中にリリースされたスーパーファミコンソフトであります。 ジャンルはRPGです。 よくある「番組スポンサーから発売された玩具」です。 ほぼ番組視聴者のみをターゲットにした商品です。 いわゆる「キャラゲー」です。 あるいは、往々にしてク○ゲー臭がプンプン薫る典型的な「地雷ゲー」でございます。 はい! そういうコトで「魔法騎士レイアース」を知らないと仰る御仁ためにご紹介。 VTRをどうぞ。 ↑のBGMを流しながら、↓の文章をお読みください。 「魔法騎士レイアース」の物語は、 東京タワーを見学中だった3人の女子中学生が、 なぜかイキナリ「異世界セフィーロ」に召喚されるところから始まります。 はいっ! そういうコトで、そんな3人の女子中学生をご紹介。 ![]() ……そうですか。 ![]() ……だそうです。 ![]() どうでもいいプロフィールですね。 ……はいっ! そういうコトで、ストーリーの概要をご紹介。 「異世界セフィーロ」の王女エメロード姫の願いによってに呼ばれた 光、海、風の3人たちは、 何の前フリも無しに「伝説の魔法騎士」だとか言われます。 挙句に「セフィーロを救って欲しい」という無理難題も押しつけられます。 ![]() 彼女が「異世界セフィーロ」の王女、エメロード姫です。 しかし3人の少女たちは、中学生だからこそ可能であろう 無謀なポジティブシンキングを持っています。 そいつを武器に、せまりくる強敵たちを蹴散らしていくのです。 そんな冒険ファンタジーです。 マンガです。 もしくはアニメです。 ![]() 無理難題を押し付ける強引なひと(年齢745歳) 「魔法騎士レイアース」の物語は、二部構成から成っています。 本作は物語前半部こと第一部のシナリオをゲーム化したものです。 その内容、コミックにしてみれば、たったの3巻。 女児向けマンガですから、セリフも少ない大コマ構成です。 そりゃあもう、ズビズバズギャーンと読み終えてしまいます。 はっきり言って、短いです (ただし、短いのは「単行本でまとめて読むと」のハナシ。 雑誌に掲載されてた期間は、「2学期が始まってちょっと過ぎた頃から、次の学年の3学期まで」なので、 雑誌をリアルタイムで読んでた女児にとっては、けっこう長いことになります)。 とは言えど、アニメ版では20話ぶん。 その内容を、あらすじにしたらやっぱり短いです。 「セフィーロ」にやってきた3人が、 敵幹部さんの襲撃を受けて、 武器を作ってくれる人に会って、 伝説の鉱物を探しに行って、 武器を作ってもらって、 魔法を覚えたり、装備パワーアップしながら、 敵幹部さんたちを倒しつつ、 んでもって3体の「魔人(マシン)」を解放して、 最終決戦に挑む。 以上。 たったこんだけです。 こんな感じですから、当然ゲームの方も短いです。 フィールドマップも、かなりこじんまりとしたサイズに設計されています。 町は3つしかありません。 ダンジョンは全部で7コです。 ゲームシステムも、ターゲット層が小学生女児なだけにかなりシンプルです。 RPGとしての難易度も低いです。 武器・防具は、固定装備制。 シナリオ進行に応じて変化していくだけの単純設計です。 ![]() ステータス画面の右下にご注目。「魔法騎士」たちの装備は、自動的に変更されるのです。 お金の概念はいちおうあるものの、 武器・防具は勝手に成長してくれるので、 装備アイテムを買い物することはありません (ただし、魔法騎士が武器・防具を購入する必要がないことは、原作の方でも言及されている)。 したがって、お金の使い道は道具を購入することだけに絞られます。 回復アイテムの購入です。 そなえあればうれしいな☆というアレです。 それでもお金があり余ります。 戦闘バランスも、これまた大味。 本作のゲームバランスは、通常攻撃がよくミスするように設計されています。 なぜかわざわざ命中率が低い仕様なのです。 つまり通常攻撃は、戦闘シーンを引き延ばすために存在するようなもの。 魔法が使えない序盤を過ぎれば、通常攻撃の存在意義はありません。 ですから、とことん全体攻撃魔法をぶっぱなすのが、本作の必勝攻略法。 MP回復アイテムを買い込んでおけば、MP枯渇状態に陥ることもありません。 ちなみにこのゲームには、「弱点属性」という概念もありません。 ですから戦闘中は、小難しいことは考えず、ひたすら全体攻撃魔法あるのみ。 「ガンガンいこうぜ」なコマンドを手動入力すればオールオッケー。 魔法大作戦です。 パーティ全員を後列配置にすれば、被ダメージ量も減ってなおさらオッケーです。 ![]() 有無を言わさず全員後列!これが最強の布陣だ! そんな感じで敵と戦ってたら、アホみたいな勢いでレベルが上がりまくります。 それを前程にしたゲームバランスに設計されております。 ですから、真面目に戦ってないと、中ボスに勝てません。 ゲーム性もクソもないド根性バランスであります。 ……スーパーファミコン版「魔法騎士レイアース」は、こういうゲームなのです。 【さすがはやっぱりパンドラボックスさんだ!】 このゲームを発売したのは、トミーです。 現在のタカラトミーになる前のトミーです。 つまり、玩具メーカーです。 んでもって、開発を担当したのは、 今なお熱心なファンがいる「ONI」シリーズを手掛けたソフトハウスこと、 あのパンドラボックス社であります。 そんなパンドラボックス社のスーファミ製RPGには、以下のような特徴がございます。 ・なんか独創的なことをやろうとしてるけど、基本的に中途半端。 ・ゲームシステムとゲームバランスが、イマイチかみあってない。 ・エンカウント率が、なぜかやたら高い。 ・戦闘シーンのテンポは微妙。 。ゲームバランス自体もよろしくない。 ・全体的な傾向としては「シナリオ偏重型RPG」を作っていることになる。 ・そのわりにテキスト改行には、とことん無関心。 つまりパンドラボックス製RPGは、 全般的にあやしいデキであることがわかっていただけると思います。 んが、その反面、パンドラボックスは そのへんの無難で無個性なRPGとは一線を画した作風を持ち味としています。 したがって、マニア向けソフトハウスと言っても間違いではないと思います。 少女マンガに例えると、 「成績優秀でサッカー部キャプテンでピアノも弾ける爽やか少年」ではなく、 「不良だけど、勉強もスポーツも中の上で、捨て猫にはメチャ優しい」みたいな感じでしょうか。 そんなパンドラボックスが、 ゲームにあまり馴染みのない低年齢層女児をターゲットに、RPGを作っていたのです。 それが、本作ことスーパーファミコン版「魔法騎士レイアース」であります。 ちょっぴりキュンキュンしますね。 しっかし、そこはやっぱりパンドラボックス。 予想通りに期待通りの欠点を持ち備えたクオリティとなっております。 前述したとおり、ゲームバランスはお世辞にも良くはありません。 エンカウント率も高めです。 いくら女児向けRPGとは言えど、問答無用です。 戦闘シーンにも、製作スタッフのしょーもないこだわりが垣間見えます。 たとえば、こんな感じです。 ![]() よせばいいのに、キャラ名がなぜかアルファベット表記です。 んでもって、読みづらい半角フォントをわざわざ使用しています。 ![]() ![]() あと、戦闘中に表示されるメッセージが英語だったりで、 絶妙な具合でターゲット層をしっかり無視しています。 そもそも「DISTRACTION」(「気を紛らわす」という意味だが、本作では「混乱」状態)とか 「FOSSILLIZE」(「化石化する」という意味が正解だけど、ここでは「石化」を意味している)を 女児に理解させる必要が、果たしてどこにありますか? そこはやっぱり、さすがのパンドラボックスです。 相手が女児だろうが容赦ありません。 まるで鬼の所業です。 【「おとなが、こどもや、おねえちゃんに。】 しかし、ゲーム難易度という面で見れば、 「魔法騎士レイアース」のゲームバランスはかなり易しい部類に入ります。 戦闘は作業感が強いものの、はじめてRPGに触れる女児でも 時間さえかければクリアできるバランスに仕上げられております。 ダンジョンも、シンプルで短めな構造に設計されています。 いやらしい仕掛けなんかもほとんどありません。 宝箱をうっかり取り逃したりしても、ゲームが進められます。 漫然プレーをしたところで、クリアするにあたっての問題も起こりません。 むしろ原作のノリそのまんまに、ポンポン進みます。 プレーヤーは、ただ「セフィーロ」を救うべく、 己の信じるがままにプレーすれば必ずクリアできるのです。 そういうように作られているのです。 そんな道中を彩るのが、そこはパンドラボックス謹製のイベントシーン。 ハッキリと言いますが、本作のイベントシーンはかなり丁寧に作られています。 スーパーファミコンRPGという制限された表現方法ではあるものの、 バッチリと原作再現されているのです。 ![]() たまにビジュアルがカットインされることもあります。 ついでに言うと、戦闘シーンもかなり気合が入ったデキとなっております。 敵キャラも味方キャラも、ちゃんとアニメーションします。 掛け声程度ながらもボイスもしっかり入っています。 「魔法騎士」たちの装備が変化・成長していく様子も表現されています。 ![]() ![]() ![]() ![]() 装備変更のタイミングは原作とはやや異なるものの、見た目にぬかりはありません。 魔法のイフェクトも、 当時のRPGの中でもトップクラスの演出が炸裂しています。 本作のゲームバランスが、魔法主体のプレースタイルなのも相まって、 魔法の演出がどんどん派手になっていくのは素直に楽しいです。 ![]() ![]() ![]() 魔法の種類は無駄に多いですが、それもまた良し。 唯一再現しきれなかったのは、「魔神(マシン)」の存在。 原作では「魔法騎士専用ロボット」として、終盤の戦力として描かれていますが、 ゲーム中では、いわゆる「召喚魔法」的な扱いに留まっています。 残念ながら、「魔神(マシン)」に乗り込んで戦うシーンはありません。 大空を飛んだり、合体したりもしません。 されど「召喚魔法」のビジュアルとしては、これまた気合の入ったデキ。 その派手さに比べれば、これらの欠点なんか些細なものでございます。 ![]() ウィィィィン!ギュリギュリギュリギュリ!ズバァァァァァァン!な「炎神レイアース」の攻撃! 「魔法騎士レイアース」をRPG化した本作の、ゲームとしてのボリュームは少ないです。 かなり少ないです。 作業戦闘がプレー時間の大部分を占めているわりに、 6時間もあればクリアできてしまいます。 そんなゲームなのです。 ただし、タイアップ玩具という視点で見れば、 かなりよくできているゲームであることは、断言することができます。 間違いありません。 原作中でも言及されているように 「魔法騎士レイアース」の物語は、「まるでRPGみたい」な内容です。 それをゲーム化した本作をプレーするということは、 コントローラーを通して「魔法騎士」になりきることを意味します。 素敵です。 そしてプレーヤーは、光、海、風の3人の苦難や、 「伝説の魔法騎士」の強さというものを、ゲームバランスを通じて知ることができるのです。 最初に目覚める魔法「炎の矢」がいかに強力なのか。 創師プレセアから貸してもらった武器が、どんなに心強い存在なのか。 伝説の鉱石「エクスード」で作られた武器が、どのように成長していくのか。 海ちゃんの両親が、どれほどの殺意を持って襲い掛かってくるのか。 ![]() パーティ内で唯一の常識人+ツッコミ係である海ちゃんは、イベントシーンであきらかに優遇されています。 原作では、児童まんがなだけに「強さの度合い」ってものが、あまり詳しく描かれていません。 そういった部分が、ゲームではパラーメーターとして見事に表現されているのです。 「まるでRPGみたいな物語」を 文字通りRPGとして味わうことができるワケです。 ![]() 一撃で撃退するシーンのためだけに用意された戦闘背景に敬礼! ……と、これだけならば 本作は「所詮は、ただのよくできたキャラゲーでしょ?」としか思わない方も多いかと思います。 確かに平凡な賛美文ならば、 「本作は、原作をほぼ忠実にRPG化した内容」程度に納まってしまいます。 つまり佳作扱いです。 しかし、スーパーファミコン版「魔法騎士レイアース」には、 ぜひとも語らなければならない魅力がございます。 ゲームとしての真価とも呼ぶべき素晴らしい点が、このゲームには存在しているのです。 そいつが炸裂するのはゲーム終盤。 物語の黒幕である神官ザガートとの戦闘と、 そのままの勢いでなだれ込むラスボス戦の一部始終がそうです。 ![]() こいつが「魔法騎士」にとっての最大の敵、神官ザガートです。 【聞け!愛の声を!叫べ!どうしようもなく理不尽な悲しみを!】 ちょっとだけネタバレしてしまいますが、 「魔法騎士レイアース」の第一部ラストは、かなりエグイです。 これまでの冒険が、じつは茶番劇に過ぎなかったことが判明し、 光、海、風の3人が「魔法騎士」としてセフィーロに呼ばれた本当の理由が明かされます。 その内容、これまでの展開が王道ド真ん中的物語だったなだけに 女児向けマンガにあるまじきレベルで、シャレにならないほど衝撃的です。 当時の女児だった人たちの話によれば、受けたショックは相当なものだったと言います。 それはそれはもう青首大根で後頭部を殴られたかのような感じだったそうです。 壮絶展開です。 その中身は、第一部をゲーム化した本作でも同様に描かれています。 ゲームでもまた、原作同様の壮絶展開なのです。 とは言えど、その一連くだりは、 児童マンガということもあって、原作ではけっこうあっさり描写です。 宿敵こと神官ザガートは、これまで「魔法騎士」たちの脅威として立ちはだかってきたわりに、 その戦いは、わずか20ページで片付けられているのです。 ついでに言うならば、ほぼ一撃で倒されてしまってます。 言い方を変えれば、ザガート戦の描写はかなりあっけないのです。 しかし、本作のザガート戦は違います。 まずは生身の状態で「魔法騎士」を倒すべく襲い掛かってきます。 ![]() そんなザガートは、強力な魔法を何発も何発も食らわせても、なかなか倒れません。 やっとこさ倒したと思っても、 今度は「心の力を結集して自ら造り上げた魔神(マシン)」で襲い掛かってきます。 ![]() そうです。 ゲームでのザガートは、原作とは異なりかなりの長期戦を強いられるのです。 ザガートのそのしぶとさや作業戦闘の合間から、 彼の目的、それを成し遂げようとする想いをプレーヤーは感じ取ることができるようになります。 原作では表現されきっていなかったザガートの強い気持ちが、 本作のザガート戦からはたしかに伝わってくるのです。 「魔法騎士レイアース」の黒幕こと神官ザガートは、 ステレオタイプの悪人なんかではありません。 ただ愛のために、愛する人の幸せを願うがために、 「魔法騎士の伝説」に抗おうとしていただけなのです。 もちろんザガートは、「伝説の魔法騎士」の前に屈する運命にあります。 たとえどんなに強固な意思があったとしても、 「伝説の魔法騎士」の力を前に、敗れてしまうという予定調和が用意されているのです。 ですからザガートの願いは、決して叶えられることはありません。 ザガートの純粋な想いを「魔法騎士」になりきったプレーヤー自身が 打ち砕かなければならないのです。 その後に登場するラスボスは、 そんなザガートを踏みにじった「魔法騎士」を憎む存在です。 怒りと憎悪をもってラスボスは「魔法騎士」を殺しにかかってきます。 ところが、このラスボスとの戦いもまたやはり、 原作ではたった30ページで済まされてるあっさり風味描写だったりします。 一方、ゲームのほうではラスボス戦ということで、 いかにもな感じのカッコイイBGMをバックに、 ザガートを全否定した「魔法騎士」への殺意がこれでもかと言わんばかりに繰り出されます。 毎ターンごとに。 ・ ・ ・ それでも、物語の最後に待っているのは、悲劇的結末でしかありません。 「魔法騎士」にまつわる残酷な使命を背負わされた以上、 光、海、風の3人は、ラスボスにとどめをさす以外の選択肢は与えられないのです。 原作では、「魔法騎士」たちは苦悩しながらも、ラスボスにとどめをさします。 そうでもしなければ、彼女たち3人は現実世界に戻れないからです。 もちろんゲームでもそれは同じこと。 ただし、ラスボスを倒すかどうかはプレーヤー次第という余地は残されています。 それは「倒しますか? はい/いいえ」みたいな選択肢があるという意味ではありません。 ラスボスと戦いたくないのなら、ただプレー放棄してしまえばいいだけの話なのです。 この瞬間、プレーヤーは「魔法騎士」とシンクロします。 戦いたくないけど、戦わなければ現実世界に戻れない「魔法騎士」の葛藤と、 ザガートとラスボスを倒さなければ、 これまでのプレー時間が無駄になるというジレンマが、 映し鏡のような形で一体化するのです。 かくいう僕は、あまりにも感極まって、ボロボロ泣きながら ザガート戦→ラスボス戦をプレーしていたことを正直に告白しておきます。 だって、さってさぁ、ザガートとラスボスがかわいそうすぎるじゃないですか! こっちは全力で魔法をぶっぱなしまくってるのに、 ひるむことなく攻撃をかましてくるのですよ! その姿が……「魔法騎士の伝説」に抵抗しようとする意思そのものなんですよ! 人を愛することの何が悪いんですか! 愛だつっても、人それぞれいろんな形があるじゃないですか! 見返りなんか求めないのが愛じゃないですか! そんなザガートやラスボスの純粋な想いを蹂躙するために コントローラーのボタンを押し続けなければならないのですよ!! そのあまりにも残酷な儀式を前に、 第一部のラストをご存知の女児ならば、 誰もがきっと、こう叫んでしまうに違いないでしょう。 「こんなのって……こんなのってないよー!!」と。 スーパーファミコン版「魔法騎士レイアース」は、多くの人に語り継がれるようなRPGではありません。 もちろん、プレーしがいのある大作RPGでもありません。 しかし終盤の戦闘シーンの行間からは、 記号でしかないはずのキャラクターの悲痛な叫びが聞こえてきます。 たかが数値上のやりとりにすぎない作業的戦闘シーンから、 原作では表現しきれていなかった感情描写の重みが、確かに伝わってくるのです。 ゲームバランスとゲーム的表現が成し遂げた 原作での描写を補完するような奇跡的演出効果。 これこそがスーパーファミコン版「魔法騎士レイアース」の真価なのです。 |