スーパーファミリーテニス
SPT 93.6.25 ナムコ
スーファミソフト探しの旅をしていて、 陳列されたソフト群の中で非常に邪魔な存在がある。 それは、スポーツゲームだ! スーファミのスポーツゲームの中で、 特に野球ゲームとサッカーゲームの数は死ぬ程多く、それに比例して駄作も多い。 そこそこの人気スポーツゲームになったら、 マイナーチェンジを繰り返しているから余計にタチが悪い。 ヘタすりゃ、1つの店に置いてあるゲームソフトの半分が スポーツゲームだなんてことも普通にありうる出来事だ。 要するに、僕にとってスーファミのスポーツゲームは眼中にないわけだ。 ところが、そんなスポーツゲームの中でも、 「スーパーファミリーテニス」だけは例外だったりする。 本作は、ナムコが誇るテニスゲームのスーファミ版である。 同社のテニスゲームとして、 ファミコンでは「ファミリーテニス」、 PCエンジンとゲーセン版では「ワールドコート」があり、 プレステでは「スマッシュコート」が存在する。 じつはこのシリーズ ファミコン版の「ファミリーテニス」の時点で圧倒的な完成度を誇っていたため、 シリーズを通してほとんど変化が見られない。 よって本作は「ファミリーテニス」のスーファミ版と言っても差し支えが無い。 いや、むしろその一言ですべての説明が片付いてしまうほどである。 事実、プレステの「スマッシュコート」に至っては、 本作との違いが「キャラがポリゴンであるかないか」くらいの 些細な違いしかないのだから、こりゃもう笑うしかない(操作感は微妙に異なるが)。 こんなゲームだ「スーパーファミリーテニス」。 さぁ、どう説明していいか非常に困っているぞ。 「とにかく純粋にオモロイ!」 「対戦プレーが燃える!」 「4人でダブルス対戦した日には、鼻血が出るほど白熱するッ!」 これらは「スーパーファミリーテニス」信者が口々に言うことである。 単純明快な操作方法、それから派生する戦略性 (このゲーム初体験のテニスプレーヤーと勝負して負けたことあります)。 一見わかりにくいが、じつは濃すぎるまでに多彩なキャラクター性能。 誰もが感じる、最大公約数的な「テニスらしさ」。 「スーパーファミリーテニス」には、それらすべてが凝縮されているのである。 だが、どれもこれも、口でどう言っても「ふ〜ん」としか思われないものばかり。 要するに、面白いのは事実なんですが、 どうにもこうにも地味すぎるのであります。 ゲーム中にBGMもないし、 ゲームモードもエキシビジョンマッチとトーナメントモードのみ。 地味ッ!!地味すぎるッ!! ・・・とにかく地味としか表現できないこのゲームですけど じつは脅威の裏モードがございます。 それは、なんとストーリーモード。 その名も「栄光の南十字星編」だッ!! 断っておくが、どう考えても このゲームの容量の大半はこの裏モードに費やされております。 容量の無駄遣いですし、本末転倒ですらございます。 が、そんなツッコミたい衝動をバカらしく思わせてくれるのが、 そのストーリー内容の破天荒っぷりであります。 どのくらいイカレポンチかと言いますと、 だいたいこんな感じですわ。 主人公マコは、コーチと共に試合に挑む。 だが、脅迫状の挟まれたテニスボールが打ち込まれてくるッ! 「お前の妹をさらった。返して欲しくば試合に負けることだ。」 困惑するマコに、ネット際の貴公子ダンディ様が助けの手をさしのべる。 「マコくん!君の妹さんは無事だ!思う存分戦うがいい!」 色男ダンディ様は「僕より強い女性が好きだ」とか言い出して、 テニス界のアイドル・ミルクちゃんの嫉妬を買うことに。 もちろん恋の戦いはテニスで決着だ! ・・・こんなんばっかです。 トドメには、ラスボスこと 世界最強のテニスプレーヤーと対戦するンですけども、 その正体というのがまたアレでして、 生きる気力が完全に失せるほどのベタでお約束な結末。 今だから白状します。 僕は、この「栄光の南十字星編」モードが目当てで 「スーパーファミリーテニス」を購入いたしました。 ええ、後悔なんかしていませんとも。 ただし、あの驚異的なエンディングを拝んで以来、一度もストーリーモードをプレーしていません。 それは、あまりにもおバカすぎるストーリーがトラウマになったせいなのか、 それともただ単に2度とプレーする価値がないだけなのか、 この「栄光の南十字星」について 語りたがる奴は少ない・・・。 |