ルドラの秘宝

ＲＰＧ　96．４．５発売　スクウェア

　　このゲームの名前、知ってますか？
　と言うよりも聞いたことがありますか？
　いままで何人かの友人（そこそこのゲーマー）に尋ねたら
　皆、口を揃えて「知らない」と言いました。
　そんなゲームです。つまりマイナーゲームですね。
　しかし、このゲームは天下のスクウェアがスーファミ最後に遺した、超大作ゲームなのです。　

　　それは1996年のできごと。
　プレステ参入が決定したスクウェアは、これまで開発してたスーファミのソフトを怒涛の如く発売していきました。
　96年１月から「バハムートラグーン」
　「フロントミッションシリーズ　ガンハザード」
　「スーパーマリオＲＰＧ」（←これは製作がスクウェアで、発売が任天堂だそうです）
　「トレジャーハンターＧ」など
　月イチペースを上回る速度でリリースされていきました。
　今回の「ルドラの秘宝」も
　そんな数あるスクウェアが最後に贈ったソフト群の中のひとつです。

　　さて、この「ルドラの秘宝」はどんなゲームなんでしょうか？
　ズバリ言い切ります。
　これはスクウェア製スーファミＲＰＧの集大成です。
　グラフィック、音楽、シナリオ、そして緻密に作られたマップ構成など、
　スーファミ最高クラスの「隠れた大作ゲーム」なのです。

　　グラフィックは美麗、音楽は秀逸。
　そしてＲＰＧのキモとも言える戦闘シーンは
　敵・味方問わずにキャラクターがバンバン動き回る
　非常に派手かつダイナミックなものに仕上がっております。
　「スーファミでここまでできるのかッ！？」と思わずビックリしてしまいますよ。
　そりゃあもう、一見の価値アリです。
　さすがスーファミ集大成です。

　　この「ルドラ〜」発売の約10ヶ月後には
　プレステで「ファイナルファンタジー７」がリリースされていることを考えれば、
　「ファイナルファンタジー６.５」と言っても過言ではありません。
　スゴイです、「ルドラの秘宝」ッ。

　　では、どんな物語なのかを紹介しましょう。
　世界は、あと16日で滅びます。
　その滅亡を防ぐために、３人の主人公がそれぞれ異なった方法で行動していきます。
　つまりプレーヤーは、３人の主人公を操作するワケです。
　Ａさんの行動結果がＢさんの行動に影響を及ぼしたり、
　Ｂさんの知り合いがＣさんの仲間だったりとか、
　人間模様も複雑に絡み合う物語を立体的に堪能できる仕組みになってます。

　　が、しかし。
　この「ルドラの秘宝」の最大の魅力は
　「言霊（ことだま）システム」にあります。
　「言霊」ってのは、本来は言葉に宿る霊的な力を指しますが、
　このゲームではＲＰＧにおける魔法のような役割を果たします。
　つまり「ルドラ〜」では、「言霊」が「魔法」なんです。

　　この「言霊システム」、
　プレーヤーが１〜６文字のカタカナを適当に入力することによって
　自分で魔法を作り出せるという画期的なシステムで、
　敵が使う強力な魔法をパクることもできれば、
　レベル１から最強の魔法を覚えられるという非常に恐ろしいシステムです。

　　この言霊、ある一定の法則で構成されていますが
　（たとえば語尾に「ナ」をつけると、効果範囲が広がるなど）、
　じつはとんでもない秘密が隠されています。
　なんと同社の大作ゲーム「ファイナルファンタジー」や
　国民的ＲＰＧ「ドラゴンクエスト」に登場するほとんどの魔法が言霊に対応してるのです。

　　「ドラクエ」サイドでは、ホイミ（回復魔法）やメラ（炎系魔法）はもちろん、
　なんとメガンテ（自分の命を犠牲にして敵にダメージを与える）や
　メガザル（自分の命を犠牲にして、仲間を完全に復活させる）もあります。

　　「ＦＦ」に登場する魔法では
　普通のゲームには登場しない魔法のバーサク（仲間を狂人化させることで攻撃力を上げる）や
　レビテト（空中に浮遊することで地震攻撃を無効化する）、
　リレイズ（倒れた仲間を自動的に復活させる）といった具合に超便利なものも存在しています。

　　でも、この「言霊システム」の醍醐味は、自分の好きなように言葉を入力することにあります。
　とにかく、テキトーに言葉を入力し、自分流に言霊を作って行くこと自体が楽しいのです。
　で、俺はどんな言葉を入力したかといいますと、
　放送禁止用語、つまりお下劣な言葉でございます。
　気分はもう、性知識に対して好奇心旺盛な中学生でした。
　とにかく下品な言葉を思いつくかぎり、片っ端から入力していきました。

　　しかし。
　そんな下品な言霊から生まれる魔法は貧弱なものばかり。
　製作者は、全国のシーモネーター（下ネタ愛好家）の存在を見越していたようです。
　自分の愚かさを嘆きながらも、それでも製作者の意図を超えるべく、下ネタ言葉を負けずに入力。

　　・・・そのとき、偶然、下品な言葉から凄い魔法が誕生しました。
　その効果は「味方全員の攻撃力を上げる」というもの。
　「ドラクエ」で言うならば「バイキルト」の魔法を味方全員にかけるのと同等の効果です。
　めっちゃ強いです。
　この放送禁止言霊のおかげでクリアできたのは事実です。
　でも、ここは公の場なのでその魔法の名前を明かすことはできません。
　残念です。