ソルスティス2
  93.11.12  エピックソニーレコード


 



  
【アーユーアメゲー?ノー!アイアム英ゲー!】

 
ソニーのゲームといえば「プレイステーション」を連想するのが当然でありますが、
 そんなソニーは、実は初代ファミコン時代からいくつかのソフトを発売し続けておりました。

 ひとくちにソニーといえど、ファミコンソフトを発売していたのは
 CBSソニーにエピックソニー、エピックソニーレコードという具合に
 子会社やら関連会社に吸収・合併した会社といろいろあり、
 厳密には異なる会社ではあります。
 でも、当時のファミコン小僧どもに、そんな違いはわかりません。
 ソニーといえば「技術のソニー」であり、
 ソニーといえば「
ク○ゲー量産会社」という共通認識がありました。

 そんなソニー系列の会社から発売された初代ファミコンソフト群を紹介しますと、
 「
聖飢魔II 悪魔の逆襲」
 「
所さんのまもるもせめるも」
 「
田代まさしのプリンセスがいっぱい」
 「
TM NETWORK ライブインパワーボウル」…などといった
 
タイトルだけで露骨なゲーム内容が想像できるものばかりであります。
 また他には
 「キャプテンED」(オリジナル作品)
 「ドラゴンズ・レア」(海外作品)といった
 いまなお
伝説のク○ゲー)として語られ続けている作品をリリースしているのも
 見逃すことはできません。

 そんな中で、唯一の例外=
マトモな作品がありました。
 「ソルスティス」なるタイトルの
 イギリス製極悪アクションパズルゲームである。


 本作は、そんなイギリス製アクションパズル極悪ゲームの続編である。
 プラットフォームがファミコンからスーファミへと移り、
 前作と比べて大幅なパワーアップを遂げた
らしい作品である
 (「1」はプレーしたことないです)。

 ということで、「2」がどんなゲームなのかを説明するのが面倒なので、
 パッケージに書かれてる謳い文句を書き記すことにしてみた!

 ・
斬新でリアルな3D画面!!
 ・
トラップの謎を解け!
 ・
多種多彩な武器と魔法
 ・
迫力のアクション!
 ・
3Dの新たな視点がアクションRPGを進化させた。
 ・
グレンダールを待ち受ける迷宮(ラビリンス)  ※グレンダール…主人公の名前
 ・
罠を突破し謎を解け!!

 ↑を要約すると、
 「斬新で、リアルな3D視点で進化しておりますラビリンスは、
 迫力のアクションRPGであり、
 多種多彩な武器と魔法をご用意して、
 罠を解いて下さるグレンダール様のお越しをお待ちしております。」
 という表現が適切でありましょう。
 …
さっぱり意味不明でございますが




  
【いろんな意味で常識超えてます。】

 そんな「ソルスティス2」をざっくばらんに説明すると、
 クォータービュー版の、初代「ゼルダの伝説」といったところでしょうか。
 メガドライブの「ランドストーカー」をイメージしていただけると助かります。

 パッケージ裏の謳い文句には「3D」と書かれてますが、
 3Dダンジョンのゲームというワケではありません。
 クォータービュー視点で三次元空間を表現した、という意味での「3D」なのです。
 紛らわしいですね。

 ゲームの流れとしては、
 フィールドマップ上に点在する8つのダンジョンを
 片っ端から攻略していく、という感じ。
 ゲームを開始すると、いきなりフィールド画面に放置されるのも
 
マゾゲーマー好みの設計でポイント高い(?)です。

 
スーファミ洋ゲーの魅力のひとつとして、
 「
なんかよくわからンけど、なんか凄い技術力」ってのがございます。
 「ソルスティス2」にも、それは詰まっておりまして、
 かくいう僕は、プレー開始5秒後に
 いきなりド肝を抜かれ、ついでにハートもブチ抜かれてしまいました。

 えっとですね、「ソルスティス2」のフィールド画面は
 LRボタンで視点を
グリグリ回転させられるんですけど、
 その動きがとても
スーファミとは思えないのです(※)。
 そのグリグリっぷりは、まるで次世代ゲームマシンのそれ!
 プレステorサターン以降のRPGって、無意味にフィールドをグリグリ動かせるじゃないですか!
 それと同じ感覚が、なんとスーファミでも体感できるのです!
 
すげぇぞ!この無駄な技術こそ洋ゲーだ!
  
※じつはフィールド上のオブジェが
   どの方向から見ても同じデザインで構築されている為、
   擬似的にポリゴンっぽさが表現されているだけである。でも凄い。


 「ソルスティス2」のインパクトはそれだけには終わりません。
 フィールド上にはモンスターが徘徊しており、
 そいつに触れるとタイマン戦闘シーンに突入します。
 で、この戦闘に出てくる敵がですね、
 これまた
無意味にクソデカイのですよ!
 どのくらいデカイのかと言いますと、画面の
1/3くらいを占めるデカさ
 
デカすぎ!
 そんなモンスター(※)が「バゴア!バゴア!」と悪魔将軍みたいに喚きながら
 飛んだり跳ねたり突進してきたりするワケですよ!
 
すげぇぞ!この無意味なデカさこそ洋ゲーだ!
  
※このくっそでかいモンスターは、たった2種類しかいないのはご愛嬌。

 とりあえず、
最初のインパクトはかなり
 あまりのパワー全快のオーラには
 洋ゲー好きならずとも、しょっぱなからメロメロにされること間違いナシですが、
 こんなもんは「ソルスティス2」においては
前菜みたいなものにすぎません。
 なぜなら、本作は
 僕たち日本人ゲーマーの
常識をブチ壊す要素がテンコ盛りだからです。




  【嫌がらせは続くよ。クリアするかプレー放棄するまで。】

 
まずビビるのが「HPの概念」がおかしいことです。
 「ソルスティス2」は(
やっぱり一撃死するゲームです。
 洋ゲーだけあって(
やっぱりよく死にまくります
 にも関わらず、
なぜかHPが存在します
 
HPがあっても無くても一撃死するのです
 さっぱり意味がわかりません。
 何のためにHPが存在するのでしょうか?

 その答えは「本作におけるHPとは、
残機数のことを指す」が正解です。
 HPがあるうちは死んでも
 途中(今いるダンジョンの部屋)からリスタートできるけど、
 残りHPがゼロのときに死ぬとセーブしたところからやり直し、というカラクリなのです。

 おかげでキャラが成長しても
あまり嬉しくないうえに
 ミョーにダマされてるような気がしないでもないですが、
 その反面、ゴリ押しプレー不可能の
 胃が痛くなるようなプレーを
常に強制されるワケです。
 
ある意味、斬新で画期的なシステムですけども、
 
ボス戦でも(やっぱり一撃死仕様なので、
 あと一発でボスを倒せる!ってときに死んでしまった暁には
 「
人生って何だろう?」と切なくなること請け合いです。


 つぎにビビるのが、
ダンジョンの仕掛け。
 本作は8つのダンジョンが存在しますが、
 最初から最後まで一貫して
ノーヒントです。

 最初のダンジョンは頭を悩ます仕掛けは少なめで
 比較的ラクチンにクリアすることが可能ですが
 (ただしザコ敵が
最弱な奴でもアホみたいにカタイので、
 それなりに苦労する)、多くのプレーヤーは
 さっそく
2つめのダンジョンで詰まってしまうことでしょう。
 そして、
自力で2つめのダンジョンをクリアできた人ならば
 このゲームにおいて「常識」という言葉が
 このゲームをプレーするにあたって、いかに邪魔になるかを体験し、
 「
こンなもんわかるか!」と本気でブチキレたに違いありません。

 が、「ソルスティス2」のダンジョンが
 
それだけで済まされる筈はありません
 本作においての本番は、3つめのダンジョンからと言っても過言ではないからです。

 クォータービューを活かした錯覚トリックは
朝飯前
 ダンジョン内の
トビラの数よりカギの数が少ないという設計の為、
 闇雲にカギを消費していったら
ハマリ状態に陥るわ、
 
ヤケクソにダンジョンが広い故にマッピングが必須だとか、
 まぁとにかく限りなく
拷問に近い難易度がプレーヤーを襲います
 (このゲームにオートマッピングなどという便利な機能は
 
搭載されてるワケがありません)。

 中盤以降は
ドット単位の激シビアなジャンプアクション
 (
失敗すると当然死ぬ)を要求されますし、
 終盤では
 「
4秒間停止したままじゃないと動き出さないブロック」とか
 「
8秒間押し続けないと動かないブロック」などの
 
超トラップが目白押し。
 7つめ以降のダンジョンでは、セーブするタイミングを間違えた
だけ
 
完全にハマってしまうという仕掛けがありますし、
 ラストダンジョン内の最強の武器が落ちてる部屋
 (
よりによって隠し部屋)でのパズルをミスったらリセット確定とか、
 トドメにゲーム進行できなくなる
致命的バグが搭載されてたり…などなど。

 その嫌がらせの数々に、
 良識あるゲーマーならば、
 
常識ブチ壊されるのを通り越して理性崩壊してしまいます
 が、マゾゲーマーならば
 「
あぁぅぅ、アソコが…アソコがジンジンするのぅ…。
 
頭がおかしくなっちゃうよぉぉぅ・・・。」という具合に
 
人格崩壊する程度に留まることができるでしょう




  【寝言は寝て言え。】

 
「ソルスティス」シリーズを手がけたジョン=ピックスフォードなるイギリス人は、
 このように発言しております。

  僕が一番好きなゲームは、いつでも
  スーパーファミコンの「ゼルダの伝説」さ。
  このゲームが好きなのは、完全なゲームシステムが構成されている点と、
  そこに完全なる努力があるからだ。
  ほとんどがパーフェクトで、細部に渡る心配りは素晴らしいものだ。
  もちろん、「ソルスティス2」製作時にも影響は受けたよ。



 …。

 ……。

 ………さすがは(?)イギリスです。
 こんな彼の発言にツッコミを入れるなら、
 「
後頭部を鈍器で殴る」が最も相応しいのではないでしょうか?



 余談ではありますが、本作のパッケージには
 「
ファミ通ベストセレクション」のロゴがプリントされております。
 つまり、当時のファミ通編集部が
 本作に対して
オススメ太鼓判を押したのですね。

 こんな「ソルスティス2」は、
 上記の通りの
極悪っぷりが凝縮された作品ですので、
 オススメできる代物だとは言えません。

 が、その反面、
 無駄に派手な技術、美しいグラフィック、くっそデカイ敵キャラ、
 軽快な操作性(終盤は処理落ちしますが)などの魅力的な部分は多いので、
 触れてみる価値はじゅうぶんにあります。
 あと、最初のダンジョンとボス戦のBGM2曲は
 一聴に値するくらい独創的でナイスです。

 とりあえず、
序盤だけなら名作保証
 それから先のことは
知りません
 「ソルスティス2」とは、そんなゲームなのです。
 よいこはゼッタイにプレーしないでください。





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