ワイルドガンズ
ACT  94.8.12  ナツメ


 



  「ワイルドガンズ」は、
クソどマイナーゲームである。
 なにせ発売元自体が「ナツメ」というマイナーメーカーで、
 
会社名からしてかなり知名度が低い。
 そりゃあもうマイナーゲームの極みもエェところでございます。
 ところが、そんなマイナーっぷりとは正反対に、
 スーファミのアクションゲームの
傑作として
 この「ワイルドガンズ」を熱烈に絶賛する人
=マニア)は多いという。

  ちなみに僕自身も、「ワイルドガンズ」の存在はリアルタイムでは知りませんでした。
 そして、初めてその存在を知り、
 「欲しい」と思ってから入手するまで、かれこれ3年ほどかかりました
 (中古屋でゲットすることすら困難なほどマイナーということなのでしょう)。
 だから、このソフトを手に入れたときの達成感は、今でも忘れることができません。
 「ワイルドガンズ、ゲットだぜ!」「ピッ!ピカチュウ!」
 そんな感じでした。
たぶん
 間違っても「裸ソフトのくせに4,000円もするンかい!」などと思いつつ、
 10分くらい悩んだなんてことは絶対にない。絶対にだ!



  本作は、3D視点の固定画面内で敵の攻撃をかわしながら、
 バリバリと銃を乱射していく西部劇
なゲームです。
 西部劇ではなく、
西部劇なのは、ストーリーを見ていただければわかるのでご紹介。


  〜
西部劇好きの賞金稼ぎクリントが、
 
大地主の娘アニーの「父の仇を討って欲しい」という依頼を受け、
 
惑星アレクスにいる海賊キッドを倒しに行く。〜


  ・・・どう考えても、
 西部劇、賞金稼ぎ、大地主の娘、
 惑星アレクス、海賊キッドというキーワードに
関連性がありません
 まぁ、ぶっちゃけたハナシ、
 
西部劇巨大ロボットやら武装戦車が登場しまくり、
 
ロックサウンドにノリながら、
 ロケットランチャーやらガトリング砲などの
重火器をブッ放す
 
クラッシャーなゲームだと思ってくれれば問題ありません

  さぁみんな、ロックサウンドをバックに
 ロボット相手に重火器をブチかます西部劇のガンマンのゲームを想像してみよう!
 デーンデーン♪デーンデーン♪デッデーン♪(ステージ1のBGM)
 チュキチュキチュキチュキィィィィィン!!(ガンを乱射する音)
 ドカバキボコスカボキッッ!!!(破壊音)
 
のわッのわッのわッのわッ。(主人公死亡)
 それが「ワイルドガンズ」だ!
 
わかりません


  ですが皆様、ご安心をば。
 このゲームが西部劇
なのが理解困難なことは、別に気にすることではありません。
 なぜなら「ワイルドガンズ」のゲームジャンルは、
 「
アクション・ガンシューティング」などという、
 これまた聞き慣れないものだからです。

  「アクション・ガンシューティングゲーム」とは、果たしてどのようなジャンルなのかッ!?
 もしかして、アクションゲームとガンシューティングゲームを足したものなのかッ!?
 
はい、そのとおりです
 その名が示すまま、アクションゲームとガンシューティングゲームを足した、
 
タコヤキラーメンのようなジャンルなのです。マジだぜ。
 アクションゲームのように主人公キャラを操作しつつ、
 かつ、ガンシューティングゲームの如く照準を操作してブイブイ言わす。
 それが「ワイルドガンズ」だ!
 
やっぱりわかりません


  ・・・ということで、基本操作法について説明することにします。
 まず、画面構成は昔ながら(80年代風)の3Dガンシューティング型で、
 画面手前に主人公キャラ、画面奥にいる敵が攻撃するというスタイルです。
 で、十字キーでキャラとガンの照準を移動するワケですが、
 照準は全方向に動かせるのに対し、キャラの移動は左右のみです。

  Yボタンはショットボタンで、押しっぱなしで連射ですが、
 ショット中はキャラが移動できず、照準のみが移動します。

  Bボタンはジャンプ。
 ジャンプ中は攻撃ができないので、
 左右移動だけでは逃げられない攻撃を避けるために使用します。

  Xボタンは、画面全体に大ダメージを与えるボム。
 ボムセットと同時に無敵になるので、緊急回避用に使います(回数制限アリ)。

  ・・・基本操作は以上ッ!
 
要するに「ワイルドガンズ」は、
 主人公キャラを操作しつつ、ガンの照準を移動させてターゲットを狙い撃ちする
 非常にアクション性の強いゲームなのであります。



  ・・・さぁ、これだけ聞いて皆様はどう思うでしょうか?
 えー、僕個人がこのゲームに触れたときの
率直な感想を書いておきます。


  「
キャラと照準を同時に操作するなんてできるか。


  敵を倒すことに夢中になって照準ばっか見てると、
すぐに死にます
 かといって、敵弾を恐れて逃げ回っていると
敵を倒せません
 ハッキリ言いますけど、
 「自キャラ」と「照準」を同時に操作するのは、
想像以上にシンドイです
 「二兎を追う者、一兎も得ず」とは言いますが、
 そんな格言は
このゲームでは通用しません
 とにかく、自キャラと照準のどっちも見ながらプレーしなければいけないのです。

 言うならば、王手飛車取りイーペーコーな感じなのです。


  さらにプレーヤーに追い打ちをかけるのが、
 
いろんなアクションが可能すぎということ。
 ゲーム中で使用するボタンは、
十字キー+3ボタンだけにも関わらず、
 これでもかというくらいの
多彩なアクションが可能なのです。
 たとえば、ショットボタンであるYボタンだけでも、
 敵が接近してきたときには「ぶっとばし攻撃」、
 ダイナマイトを投げられたときは「ダイナマイトを拾う(もう1度押すことで照準の位置に投げ返せる)」、
 連打することで「投げ縄(敵を金縛りにする)」なんてアクションができます。
 ジャンプボタンのBボタンは、二段ジャンプが可能ですし(滞空中に軌道も変えられる)、
 ショットボタンと同時押しで、一瞬無敵になれる「ローリング移動」が可能ッ!
 どうですか!少ないボタンのクセにそのへんのアクションゲーム顔負けのアクション!!
 
覚えきれません


  「ワイルドガンズ」は、
 こういう具合に
マニアック度全開バリバリゲームです。
 では、初心者を完全に突き放しているくらいの硬派っぷりかというと、
 
じつはそうでもないのが、本作の素敵なところだったりします。
 そう、このゲームにはありとあらゆる
初心者救済策が存在するのです。

  まず、練習モードとも言える「VSモード」。
 このモードでは、
照準のみを操作してターゲットを破壊していきます。
 「VSモード」はCPUとの対戦もできるので
 CPUに勝てるようになった頃には、射撃の基礎は身についていることでしょう。

  また、難易度イージーでは、敵があまり攻撃してこないため、
 
撃ちまくり殺しまくり壊しまくり
 
破壊のエクスタシーを享受できること間違いナシ
 (このゲームでは、背景のオブジェは
ほとんどが破壊可能)。

  他にも、10万点ごとに残機が増える、コンティニュー回数無限、
 敵の着弾位置が表示される、
 敵が弾を撃つと「Look out!」と警告が表示される、などの親切設計が施されており、
 マニアックなゲームのくせに、じつはそれほど間口は狭くないのです。
 (
それでも慣れないうちは死にまくりますが)。


  しかし、本作の最も恐ろしいところは、
 「
プレーすればプレーするほどミスするようになる」という
 珍現象が
平気で起こりうることであります。
 本来ゲームというものは、プレーを重ねるごとに上手くなっていきます。
 なのに「ワイルドガンズ」においては
 
上手くなるに比例して死にまくるようになるのです。
 何故か?
 それは本作をプレーするにあたって、
 「上手いプレー」が「ハイリスク・ハイリターン」を意味しているからであります。

  このゲームには(94年という時期にも関わらず)、
 格闘ゲーム、シューティングゲーム、果ては音楽ゲームにRPGにまで採用されている
 「
連続コンボ」という概念が取り入れられています。
 この連続コンボが成立するのは、
 
ショットボタンを押しっぱなしにしているときだけで、
 キャラを移動させたりジャンプをする、ボムをセット、投げ縄を投げるなどの
 
「撃つ」以外のすべてのアクションによってキャンセルされてしまいます。
 このゲームはショット中は移動できないうえに、敵弾は常にキャラを狙ってくるので、
 
コンボを狙う動けない狙い撃ちにされる
 →
そして死ぬと、かなりのリスクを背負うことになりますが、
 その見返りとして
最大5倍のボーナスを稼ぐことができるというワケです。

  ゲームをプレーする→
死ぬ→そして上手くなる
 →コンボを狙う→
死ぬ→また上手くなる→でも、また死ぬ
 →なんだかんだ言いつつも、上手くなっていく→コンボ狙いたくなる→
やっぱり死ぬ
 →それでも上手くなる→もっと凄いコンボができるようになる→で、
死ぬ

  どうですか!この見事な
悪循環、もといゲームバランス!
 ハッキリ言って、
胃が痛くなること間違いナシ!
 この絶妙なゲームバランスが、
 「ワイルドガンズ」の素晴らしさなのであり、アツさなのであります!


  まぁ、なかには「俺はハイスコアなんざ興味ないぜ!」という方もいらっしゃるかと思います。
 そういう方にとっては、これらのコンボシステムは
 無意味なもののように思えるかもしれません。
 が、「ワイルドガンズ」のスゴイところは、
 「コンボを狙う」という
危険行為が、最終的にはプレーヤーにになるという、
 
アメとムチのゲームバランスを実現していることであります。

  「コンボを狙う(動かずに戦う)」ことのメリットは、
 さっきも書いたように
最大5倍のスコアが手に入ることであります。
 ここで注目してもらいたいのは、
 本作は
10万点ごとに残機が増えるという点。
 えーえー、コンボを狙ってたら、
ガンガン残機が増えていきます
 つまり、
結果的にクリアしやすくなるのです。

  また、敵の弾丸のほとんどは
撃ち消すことが可能で
 「動かない」ことは、逆に言えば一ヶ所に敵弾が集中しやすい
 すなはち、
あまり照準を動かさずに敵弾を消せることを意味します。
 ちなみに敵弾は、消せば消すほど「ガトリングゲージ」が増えていき、
 このゲージが満タンになると、キュピィィィィン!な効果音とともに
 
完全無敵・破壊力最強
 
ガトリングモードに突入するというご褒美つき
 (この間に、さらなるコンボを狙えるというワケです)。

  そして、「コンボを狙う」ことの最大のメリットは、
 
プレーしててめっちゃカッコイイこと(重要)。
 こりゃもう、積極的にコンボを狙うしかありません
 (狙いすぎると
やっぱり死にますが)。

  常に狙い撃ちにされるという危険を背負いつつ、
 ギリギリの状態で敵をズバズバと撃ち落としていく!
 その様は、誰もが想像する「西部劇ガンマン」の姿そのものであります。
 迫り来る敵の大群!怒涛のように撃ち出される弾丸の嵐ッ!
 それを前にしても、クールにそれを片付けるッ!
 アツイぜ!快感だぜ!カッコよすぎるぜ!
これぞガンマンだッ!!
 カッコ良すぎて鼻血が飛び出しそうで大変だ!

  狙う!撃つ!倒す!殴る!破壊する!投げる!跳ぶ!転がる!爆破する!
 (
そして、よく死ぬ。
 まるで銃撃戦を思わせるゲーム性、破壊しまくりの爽快感、
 多彩なアクションに、練り込まれたゲームバランス。
 これがすべて満喫できるのが、「ワイルドガンズ」なのでございます!!


  ・・・もっとも、

 「地球の西部開拓時代の流れ者に憧れ、
 宇宙全域をまたにかける賞金稼ぎ」という設定の主人公や、

 花飾り帽子とフリフリのロングドレス姿で戦う2Pキャラは、
 どう考えても、
脳内精神年齢が著しく低いとしか思えませんが