マーヴルスーパーヒーローズ
〜ウォーオブザジェムズ〜

ACT  95.5.12  カプコン


 



  その昔、この世にまだスーファミなんてものがなく、
 ファミコンがブイブイと全盛期を築いていた頃の話。
 ゲーセンやパソコンのゲームをファミコンに移植する際、
 ファミコンのしょぼいスペックでは、オリジナルのゲームを再現できないため、
 オリジナルと同名のゲームでありながら、
 
まったく別モノ(イロモノ)のゲームが登場することがありました。

  時代がスーファミ全盛期に移りますと、
 その高スペックによって移植はスムーズに行われるようになりましたが、
 それでも、当時ゲーセンで一大ブームを席巻していた
格闘ゲームだけは
 なかなかオリジナルどおりに移植することができない、
 なんてことも日常茶飯事だったのは、今となってはいい思い出です
 (
SNKの格闘ゲームの移植に泣かされた人は多い)。

  今回ご紹介の「
マーヴルスーパーヒーローズ」も
 元はゲーセンの格闘ゲームで、
 やたらと濃くってクソでかいアメコミヒーローたちが、
 ド派手に暴れまくるという過激なゲームであります。
 ところが当時は、それを家庭用に移植するのは不可能だったので、
 それを
スーファミ用にアレンジして発売されたのが
 「マーヴルスーパーヒーローズ 
ウォーオブザジェムズ」なのであります。

  ゲームは、ゲーセン版が格闘ゲームだったのに対して、
 横スクロールのアクションゲームになっています。
 操作は単純明快で、十字キーにジャンプボタンと攻撃ボタンだけという
 とってもわかりやすい単純仕様。
 攻撃ボタンは連打することで連続技につながり、
 格闘ゲームのようにコマンド入力することで必殺技を繰り出します。

  ゲーム中で使用できるキャラクターは
5人
 放射線を浴びたクモに噛まれて特異体質になった、お馴染み「
スパイダーマン」。
 映画「X−MEN」で主役を張った、冷戦時代に開発された人間兵器「
ウルヴァリン」。
 第2次大戦中、対ナチスの超人兵器として誕生した「
キャプテンアメリカ」。
 心臓疾患を持つために機械の身体なくして生きていけないヒーロー「
アイアンマン」。
 ガンマ線を浴びたために強靭な肉体と二重人格を持つことになった超人「
ハルク」。
 (彼らは全員有名人です。
 「スパイダーマン」「X-MEN」「ハルク」は、映画化されて知名度高しですし、
 じつは「キャプテンアメリカ」も「卍帝国の野望」というサブタイトルで、92年に映画化済み。
 「アイアンマン」も、96年にBSでアニメが放映されております)

  もちろん皆様、ゲーセン版で使えたキャラの面々で、
 ゲーセンで使えた
あんな技やこんな技も使え、思わず感涙モノです。
 もちろんゲーセン版最大のウリであった
 空中連続技「
エリアルレイヴ」も再現されております。
 もっともその再現度は、「完璧に再現」ではなく
 
なんとなくそれっぽく程度にしか再現されてないってのが
 
涙が出る最大の原因なんですけども。

  ・・・白状します。
 スーファミ版「マーヴェルスーパーヒーローズ」は、
 アレンジというよりも
スケールダウンと言ったほうがしっくりきます。
 保証します。
 ゲーセン版と比較すると、あまりのヘボさ具合に
アゴが外れます

  ついでに、ゲーム自体も大味です。
 それも
かなり大味
 使用できるキャラは5人ですけども、
 キャラ性能に
あんまり差がありません
 気になるキャラ性能については、こうだ!!

 ・スパイダーマン→当たり判定が小さく、壁に貼りつける。
 ・ウルヴァリン→
強いスパイダーマン
 ・キャプテンアメリカ→5人の中では平均的な強さ。
 ・アイアンマン→
強いキャプテンアメリカ
 ・ハルク→
使えません

  ・・・こんな感じですから、
 ゲーム中では5人のキャラのうち、
2人しか使用する機会がありません
 新手の数字トリックですか?

  ただでさえしょぼいキャラの個性を、さらにブチ壊しているのが、
 パワーアップアイテム「ジェム」の存在です。
 物語中でのキーアイテムであるジェムは、
 それぞれ攻撃力やすばやさをアップさせる効果があるのですが、
 その効果が強烈すぎるため、キャラ間の性能差がなくなってしまうのです。
 ま、もともとキャラ性能の決定的な差が
必殺技とやられ判定しかないから
 余計にそう感じるのかもしれませんが。

  こんな大味ゲーを、さらに手抜きっぽく演出しているのが、
 
色違いの敵が多すぎるってこと。
 ゲーム中に登場する敵キャラは、
 宿敵が造り出した「スーパーヒーローのクローン」という設定になのですけど、
 
主人公キャラの色違いまで流用するのは、
 さすがに商魂たくましすぎじゃあございませんか?
 こんなゲームですよ!
 スーファミ版「マーヴェルスーパーヒーローズ」は!!
 そりゃ某ゲーム誌で
3点つけられたのも頷けますよッ!!

  でも僕はこのゲームを支持するッ!
 断固として支持するッ!!
 なぜかッ!?

  それは、
 スーファミ版のほうが原作に近いから、
だけです。

  「マーヴルスーパーヒーローズ」のストーリーは、
 宇宙に点在する6つの宝石を
 サノスという
ジャ○アン似の悪者が手にしたため、
 世界に天変地異が起こってしまうという原作マンガがモチーフになっていて、
 ゲーセン版でもスーファミ版でも、これは共通しています。
 でもね、スーファミ版のほうが原作マンガに近い設定なんですよ。
 知名度の高いゲーセン版よりも、
バタ臭いアメリカンテイストが味わえますし、
 それに、最近映画化が多いマーヴェルヒーローたち(
のクローン)がたくさん登場します。
 「ファンタスティックフォー」「デアデビル」「シルバーサーファー」など、
 マイナーなヒーローたち(
のニセモノ)も登場しているッ!!
 もう、これだけですべてが許されるッ!!
 などと言うのは、アメコミマニアのごく一部の人間だけでしょうが。


  まぁ、それを抜きにしても、
 ヤケクソな移植をするんじゃなくて、
 そのハードに見合ったカタチにスケールダウン
もといアレンジし、
 かつ原作の雰囲気をより忠実に再現するなんてことは、
 現在ではまずありえないないことであります。
 ハードのスペックが高い今では絶対に味わえない
 
メーカーの苦肉の策を満喫できる珍品として
 「マーヴルスーパーヒーローズ ウォーオブザジェムズ」を、僕は勧めたい。
 なんだかんだ言って、
けっこう遊べますし。

  もっとも、ゲームは薄っぺらいのですぐ飽きるうえに、
 
原作コミックもたいして面白くないという
 
最大の落とし穴はあるので危険度高いですが。


 おまけ:ラスボス戦は、
     「ファイナルファイト」で有名な
背面パンチを使わないと、ほぼクリア不可能です。
     さすがカプコン・・・。