アラビアンナイト〜砂漠の精霊王〜
RPG  96.6.14  タカラ

 


  「薔薇のような〜」という言葉は、
 美しい外見とはうらはらに残酷な内面を持つものを例えるときに使われます。
 それでも薔薇は、その美しさによって人々を魅了し続ける。

  今回のゲームは、よくできたゲームのようでありながら極悪なゲームバランスを誇り、
 僕のハートをザックリと突き刺した作品でございます。
 その名は、「アラビアンナイト〜砂漠の精霊王〜」。


  「アラビアンナイト」はその名のとおり、昔のアラビアを舞台にしたRPGです。
 強大な魔力を持つために封印されてしまった精霊王「イフリート」は、
 その封印から解放されるために1000人の願いを叶えなければなりません。
 そして1000人目の願いというのが、たまたま「世界を平和にしてほしい」というものがったために
 世界を救う旅に出るという、
非常にありきたりな導入部であります。

  ところがストーリー面はけっこうナイスで、
 物語の軸を成すのが、
 精霊の王座を取り戻すために
仕方なく人間に加担するイフリートと、
 
人間に反逆する精霊軍団の対立構造になっております。
 イフリートは封印されてしまった自分の力を取り戻すために行動しているのに、
 それがかつての仲間の反感を買い、傷つけてしまうことに悩みます。
 こんな
イフリートの葛藤はプレーヤーにそのまま委ねられ、随所で行動の選択を迫られます。
 ゲーム中で最大の選択肢は、
 ・「
自分の力を取り戻すためにかつての仲間を殺せるか?
 ・「
仲間を救うかわりに人間側に加担するか?」というもので、
 まるで「
ウンコ味のカレーとカレー味のウンコ」を思わせる選択じゃありませんか!

  戦闘システムも凝っていて、
 
トレーディングカードを思わせるシステムが組み込まれています。
 このカード、9種類の属性と5つのレベルが設定されており、全45種類もございます(効果が重複するものもある)。
 それぞれのカードには、
 「炎の属性攻撃」「攻撃力アップ」
 「
物理攻撃無敵」「100%クリティカル」といった補助的な効果が設けられています。
 これらのカードをターン始めに出すことができるのですけども、
敵も同様にカードを使ってきます。
 同時にカードが出された場合、レベルの高いほうのカードが場に出ることとなります。
 しかもこのカード、レベルが高ければ高いほど効果があるというワケでもなく、
 「物理攻撃無敵」「魔法攻撃無効化」「100%クリティカル」といった
 
強力な効果を持つカードのレベルは2〜3と微妙な設定になっているので、
 ここぞというときに使った必殺カードが無効化される可能性は高く、けっこうバクチ性が高くて素敵です。

  
ナイスなストーリー性と駆け引きのある独特な戦闘システム
 それが「アラビアンナイト」のウリなのです。
 しかもこのゲーム、スーファミ晩期というだけあって、
 
グラフィックはかなりキレイですし、
 
音楽もアラビア〜ンな感じがよく表現されており、
 インターフェイス部分に関しては、まさしく
快適の一言に尽きます。
 これだけだと、確かに「よくできた佳作」のように思えます。



  
しかし
 それらの良い部分を完全にブチ壊しているのが、
ゲームバランスです。
 そう、「アラビアンナイト」はゲームバランスが悪いどころか
 「
バランス調整されてねぇンじゃないの?」と
 
本気で疑いたくなるほどのシロモノなのです。 


  まず面食らうのが、敵
エンカウント率の異常なまでの高さ
 
3秒に1回は敵と遭遇するくらいの勢いです。
 このゲームでは、さして広くないフィールドマップの広さを表現するために
 フィールド上でのキャラの表示は小さく、動きは遅めに設定されています(町やダンジョンの中ではスイスイ動く)。
 それをさらに補うためにエンカウント率を上げたのは理解できるし、
 アラビア〜ンな乗り物の空飛ぶじゅうたん(※効能は「ドラクエ6」と同じ)や、
 ロック鳥(※効能は「ドラクエ3」と同じ)などの乗り物の快適さを120%表現しているとは思います。
 ですが・・・フィールド同様に、
 
ダンジョンの中までエンカウント高いのはどういうことですか?

  つぎに町やダンジョンなどの
マップ構造のいいかげんさ。
 これはもう、古い時代から言われてきたことですが、
 基本的に
マップの構造はユーザーのために造られるものであります。
 たとえば町の入り口付近に宿屋があるだとか、
 プレーヤーの導線に沿ってマップを構築していくなどがありますが、
 「アラビアンナイト」ではこういう配慮が
皆無
 あらゆる建物のマップが
無意味に広いうえに似たような地形が多いので、
 ダンジョンはおろか、
ただの城でも迷子になること間違いナシ
 ただでさえエンカウント率が高いのに、
 この広さはまさしく苦痛以外のなにものでもありません
 (2Dのゲームですけど
マッピングをオススメします)。

  つぎに
敵の強さ、いや中途半端さ
 本来、RPGの戦闘におけるゲームバランスの悪さには、
 「中ボスが強いのでレベルを上げようとしてもザコの経験値が少ない」とか
 「反則的な攻撃手段(一撃死など)を持っている」などがあります。
 しかし「アラビアンナイト」は、
未だかつてないゲームバランスの悪さを僕に示してくれました。
 「アラビアンナイト」のゲームバランスの悪さは、すべて「中途半端」の一言に集約されるのです。

  だいたいのRPGの場合は
 「ゲームバランスが悪い=難易度が高い」というふうに想像しがちですけどね、
 「アラビアンナイト」の難度は高くないどころか、むしろ低いンですよ。
 普通にプレーしてたらレベルはスイスイ上がるし、敵との戦闘に苦労することはないンですよ
 (
エンカウント率の高さが原因ではあるが)。
 バカ正直に敵と戦闘してたら、ゲーム開始
数時間でクリアレベルに突入するほどです。

  でもね、その敵がヤケクソ級に
カタイのはさすがに問題だと思いませんか?
 ザコ敵がですね、
虫ケラ程度の攻撃力しか持たないくせに
 
そいつを倒すのに3人がかりで2ターンかかり
 
そんなのが5匹くらい出てくるのですよ。
 こういう場合、普通のRPGなら全体攻撃の魔法が便利ですけども、
 このゲームの魔法は弱いクセに
消費MPだけ多いので、通常攻撃こそ最強
 ですから1回の戦闘に数分かかっちゃうんですけど、
 そんな戦闘に
3秒に1回遭遇するのは問題だと思いませんか?
 (おかげでゲーム中もっとも有効な魔法は「
とんずら)。

  トドメに、本作のウリである「カードバトル」が
まったく反映されていないのも痛いです。
 あのね、ぶっちゃけて言うけども、カードの効果って
すンごく薄いのよ。
 たとえば「属性攻撃」つっても、その効果は「敵の体力を
10%奪う」という程度のもの
 (
8種類もある属性を見極めれば若干マシ)。

  といってもそれは、カードを
敵に使ったときのハナシ
 イザ自分がカードを使われたら、
 通常攻撃では1ケタしかダメージ受けないくせに、カード攻撃では
ゴッソリと体力を持ってかれるのよ。
 なにせ
10%ですから
 自分のHPが2000だとしたら、
200ダメージですよ?
 1桁程度の攻撃力しか持たないザコ敵が、
 
たかが追加効果で100倍以上のダメージを与えることが、
 どんなに屈辱的かは想像にお任せすることにしましょう。

  特にえげつないのが「お金を奪う」というカード効果。
 このカード、「所持金の10%を奪う」というように設定されているらしく、
 自分が(所持金100Gの敵に)使ったときは
10Gしか取れないくせに、
 所持金10000Gのときに使われた日にゃあ
イッキに1000Gも取られちゃうのよ?
 それが最悪のケース、
3ターン続きます
 必死で溜めた全財産の30%が、わずか数ターンで消えていく・・・。
 
どうよ、コレ?
 そう、カードの読み合いは、プレーヤーには不利になっても、
 けっして効率よくゲームを進めて行くためにあるものではないのです。
 敵はけっして強くないけども、やたらとカタくてエンカウント率が高いうえにダンジョンも広い。
 =ゲームとしての戦略性がない→つまらない のです。

  つぎ〜。
 
唯一の救いであると思われるストーリー面ですけども、
 
よっぽど根性がなければ真のエンディングはたどりつけません
 しかも初プレーにて真のエンディングにたどりつくのは、
 
100%ムリと思われるほどのイケズさ
 ちょっと
イベントの順序を間違えたり
 クソ広いダンジョンで
たまたまアイテムを見つけられなかっただけで、
 
イベントに詰まってしまうという極悪仕様。
 おまけにちょっとした手違いでバッドエンドになる
 
小さな仕掛けが随所に散りばめられております
 (真のエンディングについてノーヒントなのが、さらに難易度上昇に貢献しています)。
 さらにバッドエンドの場合、
 
謎が何ひとつ解けぬままゲームが終わってしまうという
 
少年誌の打ち切りマンガのような展開が待ち受けており、
 心身ともにズタボロにされてしまうこと受け合いです。

  ・・・しかしこういった事実は、ゲームの発売時期に注目してみると、
 これはこれで仕方のなかったことなのかもしれません。
 なにせ発売されたのが96年の6月。
 しかもソフト自体が、パンドラボックス開発のタカラ販売、つまり
委託販売です。
 大手のゲーム会社が大作ゲームを発売するときには、
 開発が間に合わないために発売日を延期するのは日常茶飯事ですが、
 中小ソフトハウスとなればそうとはいきませんし、委託販売となればなおさらのことであります

 結果このゲームは、なんとも奇妙な状態で市場に出ることになったのでした
 (開発元のパンドラボックスでは、このゲームには
一切触れようともしません)。

  「アラビアンナイト」は、グラフィック・サウンド・インターフェイスといった優れた部分を持ちながらも
 
ゲームバランスを調整する期間がなかったが故に
 
本当にどうしようもないカタチになってしまった悲劇のゲームなのである。



  余談:何故に、こんなゲームのことを書いたのかというと、
   ネット上にも情報がほとんどないから、でございます。
   某巨大掲示板にも、このゲームの質問がされてあっても
   その答えを書いてる人はいませんでしたし(マイナーですからねぇ)。
   それにね、意地でもクリアするために費やした時間や労力は、
   なんだかんだ言いながらも、このゲームに対する
があったからです。

    つーことで、ネット上初公開!
   ネタバレ御免の「アラビアンナイト〜砂漠の精霊王〜」完全フローチャート攻略をお届けいたします。
   このゲームに触れてみようという気がない方がほとんどでしょうが、
   
どんなに凶悪なゲームなのか興味ある人はぜひ御覧下さい。


     極悪ゲーム「アラビアンナイト〜砂漠の精霊王〜」の攻略ページへ