バイキングの大迷惑
ACT  93.10.8  T&Eソフト

 


  「バイキングの大迷惑」は洋ゲーでございます
 洋ゲーと言いますと、我々の常識を超えた
イカレポンチなゲームを連想しがちですけども、
 このゲームも、その期待に応えるかのような、
 
見事なイカレポンチ具合を披露しております

  ゲームの舞台は北欧(だと思う)。
 普通に日常生活を送る3人のバイキングたちは、家族のために今日も狩りに出かけます。
 そこで
なぜか宇宙人に拉致されます

  なぜバイキングたちは宇宙人にさらわれなければならなかったのでしょうか?
 この謎は、すぐに判明します。
 宇宙人の
エサとしてたまたま捕まった。
 理由は、
たったのこれだけです。
 てなワケで、3人のバイキングは、
 家族も帰りを待ってるだろうし、宇宙人の
エサにはなりたくないので
 故郷に戻るべく宇宙船から脱出を図るのでした。

  が、そうこうしているうちに
意味もなく太古の世界に飛ばされたり、
 なんとなくエジプトやら、どういうわけかお菓子の国に行ったり、
 ワンダーな出来事に遭遇しまくるのですけども、
 彼らは
危機感ゼロのご様子
 で、そうこうしているうちに
けっきょく元の宇宙船に戻ってきたりします
 まぁ、あきらかにフツーじゃございませんね。
 
設定からすでにイカレています。 

  実際のゲームの内容も、これまたフツーではありません。
 ジャンル的には「面クリア型アクションパズルゲーム」に定義づけられるのでしょうけども、
 その内容はかなり独特なのです。

  プレーヤーの操作する主人公は、3人のバイキング。
 高い機動性を誇る「燕のエリック」
 剣と弓矢を自在に操る「猛烈バリオク」
 鉄壁の防御力を持つ「鋼のオラフ」
 名前を見ればカッコイイが、じつは
こいつら、
 
皆、二頭身のヒゲオヤジ

  このヒゲオヤジたちを操作して、全員無事に出口まで導くと面クリアとなるのですが、
 それまでの過程は厳しく、様々な敵やトラップが待ち構えています。
 
が、そこは洋ゲー
 ゴールまでの道のりは、我々の
期待通り
 洋ゲーテイスト溢れる
バカっぽさで彩られております

  まずステージが始まると、彼ら3人は
なぜか漫才を始めます
 この漫才の特徴は、
全員が全員ボケに徹していることなので、
 はっきり言って、
どうフォローしていいか困ります
 そしてステージクリアすれば、やはりまた
全員ボケの漫才が展開
 しかも日本人の常識を超えたボケ具合が、
 
プレーする者を強制的にツッコミ役にしてしまうという、
 洋ゲーならではの会話。
 その会話の内容は、ゲーム中のヒントを与えてくれるわけでもなく、
 ましてや
物語とはまったく関係がありません
 いや、むしろ、そんな中身のない会話こそが、
 
「バイキングの大迷惑」のストーリーとも言えるかもしれません。 
 ある意味、本当に
いい迷惑です。

  しかし、そんなバカ会話は、世を欺く仮の姿。
 じつは「バイキングの大迷惑」の最大の魅力は、
 
表面のバカっぽさとは対称的な、緻密なゲーム性にあるのです。

  この洋ゲー、見た目はただのサイドビュータイプのアクションゲームです。
 で、3人のバイキングを、プレーヤーは任意で操作するキャラを切り替えつつ、
 1人ずつチクチクと全員をゴールまで導くとステージクリアとなります。

  と言葉で書けば簡単そうですが、
 困ったことに、彼の能力には
個性がありすぎます


  まず「燕のエリック」は、ジャンプができることと、
 体当たりで壁を壊せること以外は、
まったくのダメ野郎です
 「猛烈バリオグ」は、剣と弓矢を使って唯一攻撃できるキャラなんですが、
 ぶっちゃけたハナシ、
それだけの奴です
 「鋼のオラフ」は、盾で防御をしたり、
 パラシュート代わりにして高い場所から飛び降りることができますけど、
 
他に取り得がありません
 つまり、
どいつもこいつも一長一短なので、
 適材適所で彼らの操作を切り替えて、ゴールまでの道のりを作っていかなけりゃならんのです
 (たとえば、まず「燕のエリック」の体当たりで壁を壊し、
 その先にいる敵を「猛烈バリオグ」で倒し、
 飛び道具のトラップを「鋼のオラフ」で防ぎつつ進む、という具合に)。

  で、先のステージに進めば進むほど、
 彼らの高度なコンビネーションが要求されるようになり、
 「鋼のオラフ」の盾を踏み台にして、「燕のエリック」をジャンプさせて高い位置にあるアイテムを取って、
 手に入れたアイテムを「猛烈バリオク」に手渡してパワーアップさせたり・・・と、
 充分すぎるほどの
ヤリ応えを感じるハメになります

  洋ゲーというと理不尽にクソムズイってイメージがありますけども、
 「バイキングの大迷惑」は珍しく、
 最初のステージではチュートリアル方式で丁寧な説明つきですので、
 すんなりとゲームに入り込むことができます。
 おまけに、難易度上昇のカーブも絶妙でメリハリが利いており、
 シビアなアクション性を要求されるステージもあれば、
 徹底的にパズルを解く頭脳が必要になるステージもあり、
 ノーヒントで、その場の直観力を要求されるステージとか、
 そのバリエーションも豊富です。

  唯一難を言うならば、
 ゲーム後半は
ただでさえクソムズイ面構成になっているのに加えて、
 一撃死のトラップが随所に仕掛けられるようになり、
 
心身共にズタボロにされる点ですか(最終面は、クリアするのに半年かかりました)。
 はっきり言って、後半ではノーミスでクリアすることはまず不可能。
 しかもステージクリアの条件は、操作するバイキングを3人とも出口まで導くことなので、
 誰か1人でも死んだら即アウト。
 ステージの最初からやり直しです。
 一撃死のトラップを、3人分突破しなけりゃならンという試練も待ち受けています。

  
とにかく死ぬ
 
何度も死ぬ
 
死にまくる
 それでもついついコンティニューしてしまう。
 
何故か

  
それは必ず先に進めるからです

  いくらシビアな操作が求められるつっても、冷静に操作すればどうにかなる。
 死ぬのは、自分が悪い!
 どうやって先に進んでいいのかわからなくなるときもある。
 それは、自分のアタマが悪いからだ!
 ゲーム自体は、至極シンプルである。
 攻略法は必ず存在する!
 答えは間違いなくそこにある!
 ただ、そこに辿り着くには
 己の知能と幾許かの指さばきが必要なだけだ
 (
あー、あとスペシャル級の忍耐力か)!

  そして、アタマと指先を極限まで駆使し、無事に出口まで辿り着いたときには、
 
言葉にできないほどの
 達成の快感を味わえることを保証するッ!!

  ・・・と、アツく語りましたが、
 それぞれ長所・短所を持つ者同士が互いにフォローしつつ、
 先に進んで行くという面白さというのは、なかなか言葉にするのが難しいので、
 「バイキングの大迷惑」の魅力は、いまいち伝わらないかと思います。
 しかし、このゲームの魅力を伝えられないのはあまりのも惜しい!
 そこで僕は、なんかいい例えはないかと、しばらく考え込みました。





  おーおー、ありましたよ。
 チームプレーで難関を突破していくストーリーの映画が。












 
 「7人のおたく」


   余談:このゲーム、せっかくナイスなデキなのに、
     誰も攻略サイトを作っていなかったので、とりあえず作ってみました。
     コチラからどうぞ。