このゲームのタイトルは知ってる人も多いと思います。 あるいは、ちょっとだけならプレーしたことある人も多いんじゃないでしょうか? とくにシリーズ第1作目は、「ドラクエ2」の代わりに買って(買わされて)、 そして見事に騙された御仁も多いことでしょう。 本作「3」は、未だに熱狂的なファンが多く、 スーファミゲームの中でも伝説的な作品として語り継がれておりますが、 それに影響されてプレーすると痛い目にあいます。 なぜならこのゲームはク○ゲーだからです。 後半のゲームバランスのあまりのヒドさに腹が立ち、生まれて初めてカセットを破壊しそうになりましたがな。 それでもファンに支持される理由には、ストーリーの良ささが挙げられます。 今となっては有名な話でございますが、 本作のシナリオを書いた人は、のちにスクウェアに移籍して 「バハムートラグーン」や「FF7」のシナリオを担当いたしました。 そんな話を聞いたらそりゃもうプレーしたくなるってハナシですわね。 ところがどっこい、そこにも罠がありまして、 ストーリーの良さを期待してプレーを始めても、やっぱり痛い目にあいます。 なぜなら、最初はかなりフツーなお話だからです。 どのくらいフツーなのか、そのイントロを紹介します。 舞台は古代ギリシャ。 オリンポスの神々の統治によって人々は平和に暮らしていた。 しかし、あるときを境に、地上には魔物が現れはじめた。 それは置いといて、いきなりだけど主人公は高いところから落ちて目が覚める。 しかも強く頭を打ったのか、記憶喪失になっていた…。 それにしても、頭を強打しても死なないとは恐るべきは主人公。 そう、このゲームの主人公は記憶喪失のうえに不死身なのです。 そんな主人公は、旅先にて仲間を見つけていきます。 しかもその仲間は、何故かみんな不死身。 …物語の前半はこんなカンジです。 あ、前半だけじゃなく中盤も似たようなもンで、 タイトルのヘラクレスがなんとなくなく仲間になったり、 どのへんが栄光なのかは関係なかったり(「2」でも、その栄光っぷりについては語られなかった)、 どーでもいいイベントばかりで話は進んでいきます。 しかし、この物語がスゴイのは終盤に入ってからなのです。 いや、終盤というよりもラスト直前と言った方が良いかもしれません。 誰も予想していなかった怒涛の展開と、そのストーリーの急激な加速っぷりは、 今は亡きゲーム誌「ヒッポン」誌上で話題となり (ストーリーの盛り上がり具合をグラフにしていたけど、かなり笑える図でした)、 次第にクチコミで評価されていったのです。 それでも多くの人は、あまりのク○ゲーっぷりに途中で挫折し、 当時のユーザーのほとんどは本作の結末を知りませんでした。 そう、この物語のスゴさを知ることができたのは、 終盤までのありとあらゆるストレスに耐えることができた人だけだったのです (まぁまぁ理不尽な仕掛けも1つありましたし)。 死にまくりのゲームバランスにも負けず、ブチキレそうになりつつ何度もリセットボタン連打で進め、 そして明かされる数々の謎と意外な結末…その体験をした当時のユーザーは このゲームと出会ったことを誇りにすら思っていたことでしょう。 したがって、この物語を知る者は、その内容について語りたがりません。 皆、口を揃えてこう言うのであります。 「知りたいのなら、クリアしろ」と。 それほどまでに、本作のストーリーは素晴らしく、 また「FF7」のシナリオが話題になってる頃にも 彼らは「ただの焼き直しやんけ」などと、したり顔でキーキー言ってたのであります。 はい、本作と「FF7」の物語は、かなり似ています。 まず、両者に共通するのが「環境問題」をテーマにした物語だということ。 このゲームのサブタイトルは「神々の沈黙」ですが、 ギリシア神話の神々は、魔物に襲わてれる人間を救おうとしてません。 その「沈黙」の裏では、神々による「世界を救う」計画が進行しているからです。 では、その計画とはどのようなものなのでしょうか? それは大地の神様ガイアを救うことなのであります。 つまり、「世界を救うこと」=「人間を救うこと」ではないのです。 むしろ、己の繁栄ばかりを考え、魔晄を吸うもといガイアを傷つける行為を繰り返す人間を ありとあらゆる方法で滅ぼしてやろうという魂胆なワケです。 冥王ハデスは、地上に魔物を送り込みます。 全能神ゼウスは、危機にさらされた人間を見て見ぬフリしています。 天空神ウラヌスは、そんな人間を陰で応援しているので、けっこういろいろと助けてくれます。 そして、繁栄の神プロメテウスは、 そんな人間が神様に抵抗するための力として、ソルジャーこと不死身人間を造ったのです。 「ガイア救出計画」というのは、 それぞれの神様による異なった方法によって進められているのですが、 計画の真相ってのは、じつはこんなもンではありません。 これらはあくまで、それぞれの神様を欺くための表面的なものに過ぎないからです。 プロメテウス神によって造られた不死身人間=主人公たちは、 全部で4体存在しており、これにヘラクレス(神様なので不死身)を加えた5人パーティで戦っていきます。 そして終盤、彼らは神々の思惑に操られた道具にすぎないことが発覚! 主人公たちには、セフィロスコピーが存在することも判明! 冥王ハデスの名言に思考停止せよ! 飲み込まれた時の流れに絶望せよ! 明らかにされる「計画」の真相と、収束していく伏線の数々に驚愕しつつ、 悪夢を終わらせるために最後の決断を下すのだ!! 「ヘラクレスの栄光3」のストーリーの良さは、スーパーファミコンのRPGでも最高峰であります。 さあ、その結末を知りたいと思ったアナタ、 知りたいのなら、クリアしろ!! 〜余談〜 このメーカーのデータイーストは、 ワンマン社長のサイドビジネス展開が原因で倒産したそうな。 そのサイドビジネスとは、乾燥椎茸の販売。 |