実況おしゃべりパロディウス
STG 95.12.15発売 コナミ


  「アイディアの発想方法」というものは、だいたい4つのパターンに分類されるそうです。
  ・いまあるものから引く「マイナス方式」(一輪車)
  ・「要素の分解→再構成する方式」(シャーペン)
  ・四角が当たり前のものを丸くしてみる「逆転発想」(12面ダイス)
  ・複数の異なるものを合わせる「複合発想」(ラジカセ)

  4番目の
複合発想はもっとも安易な発想方法であり、
 「ラテカセ」「タコヤキラーメン」といった驚異的なものが生み出されることがよくあり、
 もっとも
危険な発想方法であるとも言えます。

  ゲームに関してもこれは同じで、あのS社ですら
 「
レーシングRPG」というジャンルを生み出したというけっして触れられたくない過去があるのと同じように、 
 たいていの場合は
ク○ゲーを生み出してしまうことが多いです。

  「
実況おしゃべりパロディウス」も、
 コナミの得意とする「
パロディウス」シリーズと「実況〜」シリーズを合体させてしまったというゲームです。 
 「シューティングゲーム+実況」と言うと
 誰もが「実況のあるシューティングゲーム」を想像することでしょう。
 まさしく
その通りです。
 何のヒネリもありません。おもいっきり直球ストレート。
 たとえるならば
ラーメンライスのようなゲームなのです。

  「パロディウス」は、横スクロール型シューティングゲーのパイオニア「グラディウス」の製作スタッフが
 
暇つぶしのために作った「グラディウスのパロディ版」で、
 MSXというパソコンで88年に発売されたものです。
 ゲーセンや家庭用ゲーム機に登場したのはその約2年後のハナシで
 オリジナルの正式タイトルは「パロディウス〜タコは地球を救う〜」です
 その後登場してメジャー化したのは「パロディウス
だ!」なので、
 MSXユーザーの前では
「だ!」をつけなければ怒られるという珍現象もありました。
 (なお、MSXは「ぷよぷよ」や「メタルギア」の生みの親であり、
 MSXユーザーは、それだけに自尊心が非常に強い人たちでございますので要注意)。

  そして「実況〜」シリーズについては語る必要もないでしょう。
 いまや「ビートマニア」シリーズと肩を並べるコナミの看板でもあり、野球ファンなら知らない人はいないはず
 (まったく関係のないハナシですが、
 ワタシの友人Y氏の祖母は、証券会社に言われるままにコナミの株を買ってすっげぇ儲けたそうな)。

  ・・・・・・脱線しました。
 とにかく「実況おしゃべりパロディウス」ですけども、
 説明するならば実況のある「パロディウス」で
終わってしまいます
 いままで主な「パロディウス」シリーズは3作あり
 (「パロディウスだ!」「極上パロディウス」「セクシーパロディウス」)、
 「実況おしゃべり〜」は家庭用オリジナル版として
 「極上〜」と「セクシー〜」の間に位置するものです。
 が、全体的な雰囲気からして「極上〜」の使い回し的なネタばっかで構成されてて、
 他シリーズと比較すると
かなり笑えません
 本来「パロディウス」シリーズがネタにしてるのは、コナミのあらゆる作品をパロディ化したものなのですが、
 「実況おしゃべり〜」は、オープニングから「
ガンダム」をパクリ、
 果ては「
セーラームーン」まで出てくる始末。
 これじゃイカンでしょうが。

  じゃあ何が魅力なのかと言いますと、
 やっぱりこのゲームの最大のウリである
実況に尽きます。
 おそらく宇宙初「実況つきSTG」は、じつはそれだけで充分な魅力を持っているのです。
 この実況を担当しているのが
 「ドラゴンボール」のナレーターでお馴染みの八奈見乗児氏。
 アニメの「ドラゴンボール」は7時10分までは前回のあらすじで構成されてたので、お世話になった人も多いことでしょう。
 が、しかし。
 「実況おしゃべりパロディウス」は、
 「ドラゴンボール」ノリで実況してるワケではありません。
 「タイムボカン」シリーズの
ボヤッキー
 そうです。八奈見氏はボヤッキーの人なンですね。
 ゲーム中、
ずーっとボヤッキーが実況しているンです。

  ゲームをスタートすると
 「全国の女子高生のみなさ〜ん。お待たせしました。
 実況のタコだよ〜ん。張り切って行ってみよ〜。」と言います。
 で、いちいち状況を説明してくれます。
 敵が画面の上から来るときは「上から来てるよ」と実況。
 他にも「青カプセル(画面上の敵を一掃する)出現」、
 ボスが出現したときは「顔が弱点だよ」とわざわざ解説。
 ときには「今だ、スーパーボムを使え〜」とアドバイスもしてくれます。
 ボヤッキーの声で

  ハッキリ言わせてもらいます。
 
こんなアホなゲームは今まで存在しませんでした
 なにせボスが変形すれば「予想外の展開です」とアナウンス。
 ボスを倒せば「お前はもう死んでいる」とアナウンス。
 敵にやられると「ダメだこりゃ」とアナウンス。
 残機が1機になれば「ラストチャーンス」とアナウンス。
 何度も同じところで死んでたら「なかなか先に進めません」とアナウンス。
 トドメにゃ「スカポンターン!!」とツッコミまで入ります。
 ゲーム自体がしっかりしてるぶん、このミスマッチがアホっぽさをさらに見事に演出しています。

  そして、聞けば聞くほどこの実況が下品に聞こえてきます。
 「変態(編隊)さんいらっしゃい」
 「うしろからキテるよ」
 「素晴らしいテクニックだよ」
 「イッちゃったよ」
 「あらま、でっかいのね」
 「ちょっとだけよ」
 「アンタも好きねェ」
 「ちびっとはやくないかい?」
 「オナラじゃないのよ」
 「もう終わりなのね?」
 「やン、もう許してン」
 「
多い日も安心

  ・・・・・・
もうお腹いっぱいです


  〜余談〜
  なお「実況おしゃべりパロディウス」は
 その後、プレステ、サターンで発売された
 「ときめきメモリアル〜forever with you〜」をパロって
 同じくプレステ、サターンで
 「実況おしゃべりパロディウス〜forever with
me〜」として発売されています。
 「〜for ever with me」では
 ボヤッキーだけでなく、ドロンジョ様役の小原乃梨子氏が出演してるそうな。
 徹底してますね。