スラップスティック
RPG  94.7.4発売  エニックス



  21世紀に入り、はや数ヶ月。
 「鉄腕アトム」のような世界は未だ訪れずですが、
 
ホンダ技研ソニーは頑張って2足歩行型ロボットを造っています。
 2足歩行型ロボットというのは、機械の設計上、激しく非効率的なものだそうですが、
 ガンダム世代がロボット開発の前線に立った現在の日本では、
 やっぱり2足歩行にこだわってしまうというのは当然のことだと思います。
 2足歩行ロボットにこだわるのは日本だけだと思いきや、
 4000年の歴史を誇る中国でも、某イカレポンチな2足歩行ロボットが開発されてるそうで。
 とにかく、これからも様々なロボットが現れることでしょう。

  
それはさておき
 ロボットが誰にでも手に入り、クルマと同じようにチューニングできるようになればアナタは
どうしますか? 
 どんなロボットに改造したいと思いますか?
 たとえばカラーリングをこうしてだとか、限られた状況の中でこのパーツを強化するだとか、
 そういう気持ちが湧き出てくることでしょう。
 「スラップスティック」は、そんなアナタの願いを、ほんのちょっぴりだけですけど実現してくれます


  「スラップスティック」は主人公が科学者の息子であり、
 ロボットを駆使して悪の組織と戦っていくというストーリーなのですが、
 このロボット、名前を自由につけられるのはもちろん
 その性能やカラーリング、必殺技の種類、ついでに必殺技の名前まで自由につけられるという
 とにかく
自分度炸裂しまくりで、俺度てんこ盛りなのです。

  「自分だけのロボットを操り戦っていく」と聞きますと
 なんだか「ガンダム」なノリを想像しちゃうと思いますが、
 ところがどっこい「スラップスティック」は、かなりポップで軽〜いノリのRPGなのです。
 「スラップスティック」に登場するロボットは、
 「
鉄人28号」よりもまだヘッポコで情けない容姿のロボット、
 例えるならば「
ロボコン」のようなロボットなのですか。

  「ロボコン」のみたいなへっぽこロボで戦うのを想像すると脱力しそうになりますが、ご安心を。
 主人公と敵対する組織の存在は、
もっと脱力させてくれます
 敵組織の名前は「ハッカー」。目的は世界征服。
 改造人間を作り出し、様々な悪事を繰り返しています。
 ハッカーはロボット科学者の権威である主人公の父親を、世界征服に利用するために誘拐します。
 まるで絵に描いたような敵組織です。
 ちなみに「ハッカー」という組織名は、もちろん
ショッカーのパクリです。
 なにせ敵の
戦闘員は黒い全身タイツを着ていますし、
 最初のボスキャラは
カニ男です(なんでも、そのへんのサワガニを改造したらしい)。
 主人公抹殺に失敗したカニ男の処刑方法は、
カニ料理として調理されるですし。
 ・・・ここまでされると、嫌でも気軽なノリで楽しむしかありません。
 このノリ、
かなり異色です。
 しかし、異色っぷりを発揮しているのはこれだけではありません。
 なにせ
ゲーム自体がこれまた異色なんですから。

  まず、主人公は科学者の息子というだけあって、
 世界中に散らばる本を読むことで新アイテムを発明できるようになるわ、
 いろんなアイテムを合成してアイテムを作るわで、
インテリ度がスパークです。
 ついでにロボットをチューニングすることで、
 攻撃型、防御型といったロボットを
自由に作ることができます
 (ただし、所有できるのは3体まで。
 1体目はオールマイティ型、2体目は物理攻撃に強い、3体目は特殊攻撃に強いという特徴を持つ。
 が、見た目は全部同じなので、自分でカラーリングして
適当に差別化しましょう)。

  そして、もっとも異色なのが戦闘シーン。 
 戦闘は3×8の碁盤目状のフィールドで行い、
 ロボットに接近攻撃・飛び道具攻撃・全体攻撃などの攻撃命令を出して戦っていきます。
 が、あくまで
戦うのはロボットで、
 主人公はロボットを操作するだけってところが
セコイです。
 で、ロボットには「行動ゲージ」というものがございまして、
 そのゲージが満タンになると行動できます。
 でも強力な攻撃をすると、それだけ多くの行動ゲージを消費してしまって
 次の行動になかなか移れないのでアタマを使う必要があります。
 たとえば、飛び道具攻撃より接近攻撃のほうが行動ゲージの消費量が少ないが、
 移動力の都合で接近攻撃が届かないので、
 敢えて行動ゲージ消費量の多い飛び道具攻撃をする、といった具合です。

  しかし、非情なことに戦闘シーンには
制限時間が設定されていて、
 リアルタイムで時間が経過していきます。
 戦闘フィールドには敵キャラだけでなく、カプセル(いわゆる宝箱)が落ちているのですが、
 制限時間をすぎるとカプセルは消えてしまいます。
 それだけでなく、敵を倒したときにもらえる経験値も少なくなりますので、
 瞬時に行動をし、
いかにはやく敵を倒すかってことが重要になってくるのです。

  さらには3連続で技を繰り出す「必殺技」というものがございまして、
 攻撃方法の組み合わせによって「連続斬り」「乱れ撃ち」「ふっ飛ばし攻撃」といった、
 様々な効果がある攻撃方法なんてもございます
 (これらの必殺技にも
自由に名前をつけられます)。
 敵によっては一筋縄ではいかないクセのあるキャラもいますので、
 場合に応じてこれらの技も駆使していかなければいけません。

  かなり「スラップスティック」の戦闘はかなり戦略性があります。
 しっかしそれだけではなく、戦闘中にボタンを連打することによって
 行動ゲージの回復スピードもアップします。
 
要するにハードなんです。
 
でも楽しいです。
 だから
燃えます

  脱力したノリとハードな戦闘。
 最初はそのギャップに違和感を覚えるかもしれません。
 しかし物語が進むにつれ、少しずつシリアスな内容になっていきます。
 そしてエンディングを迎えたときには、「いいゲームだったなぁ・・・。」と思わせてくれます。
 「スラップスティック」は、そんなゲームです。
 「喜劇」を意味するタイトルは、ダテではありません。


  〜余談〜
 このゲームの発売元はエニックスですが、
 開発しているのはクインテットという、
 「イース」などでお馴染みの日本ファルコムの元スタッフが作ったソフトハウスです。
 主な作品に「アクトレイザー」「ソウルブレイダー」「ガイア幻想記」「天地創造」などがあります。