重装機兵ヴァルケン
ACT  92.12.18発売  メサイヤ



  なぜ人はロボットに憧れるのでしょうか? 
 ロボットが登場するSF小説の元祖を書いたと言われるアイザック=アシモフは、
 そのルーツが「フランケンシュタイン」にあると語りました。
 「フランケンシュタイン」と言っても、 頭にボルトが埋まってるようなやつじゃなくって
 17世紀頃に女流作家M・シェリーによって書かれた原作のほうです 
 (現在のフランケンのイメージはホラー映画によって定着したものです)。
 どうしてフランケンシュタイン博士は、死体を寄せ集めて人造人間を作ったのでしょうか?
 それは人造人間が自分の
憧れだったからです。
 フランケンシュタイン博士は典型的なマッドサイエンティストというワケではなく、
 ヒョロヒョロでコンプレックスのカタマリのような人間だったのです。
 そんな博士の、
自分の理想とする友達が欲しい願望が、タフガイな人造人間を作り出したのです。

  つまり、ロボットは人間の
代行者であるから
 
人間の形をしていなければならないとも言えます。
 ロボットは人間の行動を基準として設計されるものです。
 したがってロボットは、人間の延長線に属するものであり、
 人間ができないことをできるからこそ憧れの存在に成り得るのです。
 ・・・と、いきなり脱線しちゃいましたが、以上がワタシのロボット観です。

  さて、やっとこさ本題です。
 「
重装機兵ヴァルケン」はそんなロボットの魅力が満載です。
 「重装機兵」というだけあって、ロボットもののアクションゲームであります。
 そして1990年にメガドライブで発売され、
 
マニアに熱烈な支持を受けた「重装機兵レイノス」の続編にあたる作品であります。
 (でも「〜レイノス」は
マニアックすぎて、やたらと難しいです)。
 それが「〜ヴァルケン」として、スーパーファミコンになってナイスに生まれ変わりました。

  主人公の名前はジェイク。
 彼はアサルトスーツと呼ばれるロボット「ヴァルケン」に乗って敵国と戦う一兵士です。
 ジェイクはヴァルケンを操り、敵国を倒すために様々なミッションをこなしていきます。
 以上、ストーリー説明おわり。
 
わかりやすいです

  そんな「〜ヴァルケン」の魅力とはいったい何でしょう?
 お答えします。もちろん
ロボットです。はい。
 特筆すべきことは「ヴァルケン」のメカデザインです。
 
ダサいのです。これが。
 なんかゴツゴツしてて、シャープでスタイリッシュなデザインとは程遠い。
 だからこそカッコイイのです。
 いわゆる「
ダサカッコイイ」というやつですね。

  そんな「〜ヴァルケン」の初プレイのとき、誰もがブチ当たる壁があります。
 それは
思い通りに操作できないということ。
 まず、スーファミのコントローラーのボタン
すべてを使いこなさなければいけません。
 攻撃、ジャンプ、ダッシュ、武器の切り替え、ガード、銃砲固定、
 それぞれのアクションが1つのボタンに割り当てられていますので
 とにかく操作がややこしくって混乱させてくれます。
 さらには、ヴァルケンの挙動がリアルに表現されているため
 (ジャンプして着地すると、サスが利いて操作に制限が出るタイムラグがある、飛行軌道に慣性がかかる、等)、
 これまた
単純に操作するだけでも難しいときたもんだ。
 「〜ヴァルケン」は操作に慣れるまでが大変なのです。

  悪戦苦闘を繰り返し、操作に慣れてくればこっちのもの。
 思い通りに
ロボットを操る自分に心酔できること請け合いです。
 誰だって最初からクルマをブイブイいわせることなんてできませんし、
 アムロも最初からガンダムを操れたわけではありません。
 そこにリアルさが存在するような気がします。

  「〜ヴァルケン」には、そんなリアルさに対するこだわりが随所に見られます。
 まず
敵に触れてもダメージを受けない
 敵に攻撃されてはじめてダメージを受けるのです。
 「敵に触れるとダメージを受ける」という、アクションゲームのお約束をブチ破ってくれました。

  マシンガンをぶっ放せば
薬きょうが飛び散るわ、壁に亀裂が入るわ、
 敵ロボットを破壊するとパイロットが脱出して逃げ回るわ、ホントに細かい演出に惚れ惚れしちゃいます。
 さらには、コロニーが地球に落ちるわ、大気圏突入はするわ、
 
ライバルの機体が紅くてファンネル装備だわで、ニヤリする部分も多数アリ。

  さぁ、いろいろ褒めまくりましたけども、
 「〜ヴァルケン」はゲームの中身もスゴイです。
 まずはフツーにクリアすることを目的としてください。
 ガードの使い方さえマスターすればなんとかなります。
 それでもクリアが困難なときは、初心者救済策の隠し武器「
ナパーム」をゲットしましょう
 (ステージ1で、ザコをまったく倒さずにクリアすると手に入ります)。
 これさえあれば鬼に金棒。ボスだって
瞬殺できる威力です。

  クリアーするのが慣れてきたら、今度はいろんな武器を使って攻略してみましょう。
 武器は全部で5種類あり、どいつもこいつも一長一短ですが素敵なものばかりです。
 自分のお気に入り武器だけで全面クリアするのも一興です。
 ついでに、ステージ3とステージ5の結果次第ではバッドエンディングってのも拝めます。
 グッドエンディングとバッドエンディングの両制覇をしましょう
 (
バッドエンディングのほうが出来がいいから)。

  そしてトドメには全面クリアするまでのタイムアタックに燃えましょう。
 たとえばステージ1、2はザコを無視して突進するだけでクリアできるとか、
 ステージ3のボスは倒さなくてもよいとか、そんなショートカットの場所が
随所にございますので。
 その気になれば、普通にクリアするのに1時間かかるのが、30分くらいでクリアできます。

  要するに「〜ヴァルケン」は、非常に練り込まれた良質のアクションゲームなのです。
 発売されて10年以上も経ちますが、現在でもその魅力は色褪せることなく、今プレーしても楽しいのです。
 さぁ、
ロボット好きよぜひプレーすべし

  〜余談〜
 「〜ヴァルケン」にRPGの要素が加わったものが、
 スクウェアから発売された(開発は大宮ソフト)「フロントミッションシリーズ ガンハザード」であります。
 同じ開発者が担当したのかどうかはわかりませんけど、超激似です。
 同じようなノリで楽しめますので、機会あらばこちらもどうぞ。
 なお「〜ヴァルケン」の正当な続編としては、セガサターンで発売された「重装機兵レイノス2」がそれにあたります。
 機体のチューニングなどがあり、マニアックな内容になっています。
 プレステで発売された「〜ヴァルケン2」は、うって変わってシミュレーションゲームだそうです。