イデアの日
RPG  94.3.18発売  ショウエイシステム



  突然ですけど、皆様に質問です。
 懸賞ハガキを送って当選したことはありますか?
 俺はあります。何回も。
 運が強いのでしょうか?
 でも、運が左右する賭け事には弱いです。

  いきなり話が脱線しましたけど、
 「
イデアの日」というゲームは、懸賞にあたってタダでゲットしました。
 コトの始まりは、「ヤングサンデー」に 当時連載されていた相原コージの忍者マンガ「ムジナ」にあります。 
 このマンガ、物語の内容はすごくシリアスなのですが
 作中には「実験シリーズ」と称した企画がございまして、
 「
擬音・描き文字にこだわってみる
 「
大きく描かれるコマを小さく描き、大きいコマを小さく描く」といったものから、
 「
アシスタントに描かせてみる」といったものなど、
 非常に笑えるマンガでした(いや、本編はすごくシリアスなのですが)。
 その「実験シリーズ」の中で「
間違い探しをしてみる」というのがありまして
 (例:刀が、便所掃除のカッポンになっている、フンドシのかわりにブリーフを履いている、など)、
 この間違い探しに応募した人の中から抽選で、
 
相原コージがキャラクター、シナリオ、ゲームシステムをデザインしたゲーム
 「
イデアの日」をプレゼントするというのがあって、見事に当選しちゃったンです。
 以上、
自慢話でした。

  そんなワケで、今回のゲームは「
イデアの日」です。
 もう言っちゃいましたけども「イデアの日」は
 マンガ家の相原コージが、キャラクターデザイン、シナリオ、ゲームデザインを担当したゲームです。
 他業界の著名人が作ったゲームは得てしてク○ゲーだってのが
世の常ですが、
 「イデアの日」はけっこうナイスなゲームです。

  ですが、ゲーム自体はかなり
バカゲー入ってます。
 物語の舞台が現代というだけあって、
 武器の種類には、
ゴムホース(多分振り回して攻撃する)や
 
高枝切りバサミなどしょーもないものが多数あります。
 さらにバカ度がスゴイのは、「イデアの日」の目玉とも言える
 「
着替えシステム」!!
 装備した防具が、すべてグラフィックで表示されるンですが、その防具ってのが
 
セーラー服やらボディコン女性物の下着などかなり多彩なうえ、
 男性が着用することも可能ッ!!
 
 
  さらには、
パンツを頭に被ることができるというアホっぷり。
 ジイサンがセーラー服を着て、頭にパンツを被るという
 
変態コスプレも可能なんですね
 (ただしお相撲さんは、サイズが合わないという理由で
着用不可。 

  そんなバカっぷりとは対照的にゲーム本編は真面目です。
 「某有名RPG8」じゃありませんけど、
 イデアという名の女性がカギを握っています。
 このイデアが、現代に争いのない平等な理想国家を作ろうとするところから物語は始まります
 (ちなみに「イデア」というのは哲学用語ですが、「理想」という意味で使われることが多いコトバです)。
 そして、何故か超能力を持つ主人公は、自分を利用しようとしてるイデアの目的を知るために旅に出るのです。

  しかし、その旅の内容というのが
 なんつーか、全編パロディに満ち溢れているンです。
 「タイガーマスク」「エイリアン」「漂流教室」「海底2万里」「ロミオとジュリエット」
 「聖書」「白鯨」「未知との遭遇」「ゴッドファーザー」「インディジョーンズ」などなど。
 とにかくどこかで聞いたことのある話の連続です。
 でも、これらのパロディはけっしてウケを狙ったものではなく、
 いい具合に消化されているところがミソです。
 なので、正確には「パロディ」というよりも「
オマージュ」という表現のほうが正しいかもしれません。 

  そんなオマージュの集大成で綴られる物語には、さまざまなテーマが含まれています。
 宗教問題男女差別
 
資本主義経済と社会主義経済の考察戦争問題
 
カインコンプレックス環境問題部落差別問題介護問題
 人間が生きる目的とは何か、という具合にそれらのテーマはかなりディープです。
 かと言って、これらのディープなテーマを説教くさく強引に押し付けてるというワケではなく、
 さりげにサラっと描いてるあたりがなんとも素敵です。
 当時のゲームには、こういうムズカシイことを表現したものがなかったのでかなりのインパクトがありました。

  でもやっぱり、しょーもなさという点ではしっかりツボを押さえてくれてます。
 それがしっかりあらわれてるのが、主人公の仲間になる面々。
 現役女子高生、地下格闘場の相撲取り、田舎暮らしに飽きたイタコ
 ただの
ドロボウ、そして世界征服を企むマッドサイエンティスト
 (あと、どーでもいい野性の動物たち)。
 どうです?脱力しちゃうこと請け合いです。

  他にも脱力してしまう箇所はあります。
 物語終盤でイデアは、自分の理想に従わず戦争を繰り返す人類を滅ぼすために
 「ノアの方舟計画」というプロジェクトを実行するのですが、
 この計画、地球の地軸を傾けて南極が赤道の位置にくるようにズラして洪水を起こすというもの。
 ここまではフツーなのですが、
 その地軸を傾けるための兵器の名前が「
チジクカタムケール」。
 勘弁してください。

  そしてトドメがゲームのエンディング。
 なんと・・・主人公は仲間である現役女子高生を
腹ませてしまい
 できちゃった結婚をしてしまうというゲーム史上稀にみるイカレポンチな結末。
 こんなのでいいのか・・・・・・?