メタルマックス2
RPG  93.3.5発売  データイースト



  誰のコトバか忘れましたけども、
 「
自由とは何でもしてもいいというパスポートではなく定められた枠内での選択肢のことである」
 ・・・ってのを聞いたことがあります。
 つまり、
自由というものには常に制限があるってコトですね。
 ゲームに関して言えば、自由すぎれば
 
何をやっていいかわからなくなるという現象が発生するンですね。

  「自由度の高いゲーム」はアメゲーによく見られるのですけど、
 何をやっていいかわからない=
ムズカシイことが多いです。
 ですから「自由度の高いゲーム」は
 自由と制限バランスの微妙なさじ加減ってのが重要になってくるのです。
 なんかカタイことを言ってますけども、
 「
メタルマックス2」のさじ加減は、かなり絶妙です。
 これが言いたかっただけです。

  イキナリ「2」を紹介されても仕方がないので、「
」の説明から入りましょう。
 「メタルマックス(1)」は、1990年末にファミコンで発売されたRPGです。
 世界が崩壊したあとの近未来を舞台に、
 暴れ回るモンスターを倒していくっていうゲームです。
 まぁ「
北斗の拳」みたいな感じですよ。
 主人公は、モンスターと戦う賞金稼ぎに憧れ、旅に出ます。
 物語だけだといたってフツーっぽいゲームだと思われますけど、
 「メタルマックス」が
そのへんのRPGと違うのは、戦車に乗って戦うというトコです。
 ですが、生身で戦うこともできます。
 でも戦車のほうが
強い北斗神拳と同じくらい強い。
 こうして強い戦車を駆って、強いモンスターを倒し(賞金首なんかもいる)、
 賞金を手に入れて、戦車の部品を買い換えて、さらに戦車をパワーアップさせていくのです。

  でも「メタルマックス」の最大のウリは、
 ミニ四駆のように戦車をチューンするコトなんかじゃなく、
 ゲーム自体がとてつもなく
自由なところにあります。
 べつに
戦車を使わなくてもゲームクリアできるンです。
 ゲーム開始
10分でエンディングを拝むこともできます。
 道中で仲間を加えなくてもいいですし、クリアしなくてもいいダンジョンや
 倒さなくてもいいボスキャラもたくさん登場します。
 立ち寄った街で頼みごとされても
無視して先に進むこともできます。
 とにかくプレーヤーの
自由なんです。
 その自由さが、「1」が発売された当時は斬新でした。
 が、
自由すぎて中途半端だったというのがワタシの正直な感想でもあります。
 物語は盛り上がりに欠け、ダラダラと気ままに旅をしてたら
突然ラスボスに出会ったり、
 何に使っていいのかわからないけど重要なアイテムなんかを拾ったり・・・などなど。
 自由で
ちゃんとした目的がないから達成感がないのです。

  
しかし 「2」ではこういったダラダラを改善するためにストーリー性を強化し、
 かつ
自由度を維持したものに仕上がっています。
 まず「1」と違う部分として「主人公にはちゃんとした目的がある」のがポイントです。

  「2」は、日本の近畿地方をモチーフとした世界が舞台でして(「1」では東京近郊)、
 その地域は、「グラップラー軍団」なる組織(いわゆる
ジード軍団)が暴れています。
 主人公は、この軍団に両親を殺されてしまったために、グラップラー軍団に復讐を誓うのです。
 「1」の「ハンターになりたい」という漠然とした目的とは違い、
 「
復讐を果たす」というちゃんとしたモチベーションが「2」の主人公にはあるのです。
 たったこれだけの差でも、プレーヤーのやる気は変わってきます。
 道中では「グラップラー四天王」なるボスも登場するし、思わずホロリと来ちゃう素敵な人間ドラマもアリ。
 そして、ナイスな音楽がプレーヤーのテンションを盛り上げます。

  でも自由度は、「1」よりも
パワーアップしているのです。
 戦車のパーツは、改造できる箇所が大幅に増え、
 「新しいパーツを買い換えるか?」それとも「古いパーツを改造して強化するか?」といった
 選択する楽しさなんかも味わえるのです。
 道中で拾うICチップを組み合わせて
 「
LOVEマシーン」という、効果が256通りもある道具を作ることもできますし、
 鉄クズをかき集めて自分の
オリジナル戦車を作ることもできます。
 それに、ゲーム中で発生する60種類以上のイベントの中で、
 真のエンディングに到達するためにクリアしなきゃいけないものは、
 たったの
8種類という放任っぷり(ちゃんと数えました)。
 でも、自由度の高いゲーム特有の「何をしていいかわからない」という感じはしません。
 「こうやったら面白くなるだろう」という製作者の意図が、正しいベクトルに向かってることを思い知らされます。 

  しっかし「メタルマックス2」の自由度には、
 自由を謳うその他ゲームの追随を許さない点があります。
 それは
ゲームのインターフェイスまでもカスタマイズできる点です。
 パソコンでは、デスクトップの壁紙を変えたり、マウスの設定を変えたり、ショートカットやフォルダを作ったりして、 
 使いやすいように
自分好みにカスタマイズすることができますよね。
 こんな具合に「メタルマックス2」では、自分にとって使用頻度の高いコマンドを
 カーソルの初期位置に持っていったり、よく使うアイテムをボタン1個で使えるようにしたりできるのです。
 極端な例ですけども、戦闘中のコマンドを
 ぜんぶ「
逃げる」に設定するという過激なこともできます。

  とにかく「メタルマックス2」という
ゲーム1本そのものを「自分好みのシステム」に改造できるのです。 
 こんなにカスタマイズできるゲームは他に見たことありませんし、
 このカスタマイズだけでけっこう遊ぶこともできるのです。
 どうです、徹底的に自分好みなものに改造できるゲーム。
 まさしくアナタのためのゲーム。素敵だと思いませんか?

  「1」の欠点を改善して、その魅力を正しい方向にパワーアップさせた
 「メタルマックス2」は、マイハートに残るゲームの1つです。
 愛してます。
 さぁ皆様、いざローソンへ!!!(こればっか)


  〜余談その1〜
  ちなみに「1」は、「メタルマックスリターンズ」というタイトルでスーファミでリメイクされています。
 でも、やっぱり中途半端なゲーム展開はそのままですし、
 「2」の最大の魅力であるシステムカスタマイズはできなくなっていますので、やっぱり「2」のほうが好きです。
 ドリームキャストでは、続編「メタルマックス〜WILD EYS〜」が発売されるはずだったンですけど、
 
大人の諸事情で開発中止になってしまいました。

  〜余談その2〜
  「メタルマックス2」が発売されたころ「ファミ通」で連載されてた、
 ゲームソフトメーカーを舞台にしたマンガ「あそびじゃないの」は
 なんと「メタルマックス」製作者であるミヤ王こと宮岡寛氏が原作を書いていました。
 このマンガ中に、ゲームの自由度についてやアイコンの表現方法などについて議論するシーンがあるのですが、
 このひとつの答えが、「メタルマックス2」の中で出されています。
 これを読むと、さらに楽しめることを保証します。