モンスタニア
RPG  96.9.27発売  パック・イン・ビデオ



  ゲームがやりたいけど時間がない
 だから大作ゲームなんかよりも、
 時間がかからない
お手軽なゲームがやりたいと感じたことはありませんか?
 もう、とにかくゲームはプレーしたいけど面倒なので、
 「
プレーしなくてもいいゲームってねぇかなぁ。」などと
 とんでもないことを考えたこともありますか?

  まぁ、そんなゲームは存在するワケがないンですけど、
 今回の「
モンスタニア」は、 そんな願いをちょっぴ叶えてくれる超お手軽RPGです。
 なにせクリアまでに必要な時間は、わずか
8時間
 2回目以降ならば
3時間程度でクリアできてしまいます。
 しかもゲーム中に登場する戦闘シーンは
10数回のみ。
 数時間でクリアできて、かつゲーム中で発生する戦闘シーンの回数が10数回のRPGって
 いったいどんな具合でゲームなんでしょうか?
 このへんの疑問から答えていきましょう。

  物語は「モンスタニア」と呼ばれる、
 モンスターと人間が共存する島を舞台に展開していきます。
 主人公の少年は「フェアリーストーン」という不思議な石を求めて
 島中を旅していくのですが、その道中には様々な難関が待ちうけています。
 難関、要するにモンスターが主人公の前に立ちはだかるワケですよ。
 つまりRPGにはかかせない
戦闘ってヤツですね。
 つーコトで、
RPGのキモとも言える戦闘について説明しましょう。

  戦闘は、将棋のようなマス目の上で繰り広げられます。
 専門用語では「タクティカルコンバット型」っていうシステムです。
 主人公が1回行動するごとに、敵さんも1回行動します。
 このゲームでは基本的に2人パーティなのに対して、
 敵さんは大群で襲ってきます。
 つまり、
2人 VS 大群という戦闘なんです。
 そりゃアタマを使わなきゃ勝てないってハナシですね。

  普通のRPGにおいて強いボスなんかに勝てない場合、
 レベルを上げて再び挑むってが常套手段ですが、
 「モンスタニア」ではそれが
できません
 なぜなら、まず普通のRPGでおなじみの「経験値」という概念は存在しないし、
 さらに戦闘は
毎回ボス戦だからです。
 いや、それはちょっと言いすぎです。ごめんなさい。
 正確には「戦闘の起こるシーンは決まっている」と言ったほうが正しいです。
 そして、1回戦闘をこなすとレベルが上がる仕組みになっているのです。

  こうして主人公は強くなっていくのですが、
 戦闘が起こる場面は決まっているということは
 
誰がプレーしても強さは同じということでもあります。
 つまり、誰もがまったく同じ状態での戦闘を要求されるのです。
 そこで必要とされるものは、地道に努力してためた経験値ではなく、
 「いかにして戦うか?」というプレーヤーの
頭脳戦略性なのです。
 現実にも通ずる、なかなかシビアな世界ですね。

  そのぶん「モンスタニア」の戦闘は、「
戦闘をこなす」というよりも
 「
パズルを1問解く」という表現のほうがピッタリです。
 たとえば、襲いかかるクマを誘導して落とし穴に落とすとか、
 迫りくる敵の大群をいかにして迎撃するか、
 はたまた雑巾かけのイベントでは「一筆書き」を要求されたり、などなど。
 ですから、RPGというよりもパズルゲームと言いたいのがホンネだったりします。
 しかもこのパズル、一度解いてしますととっても簡単なものばかりですから、
 再プレー時にお手軽にプレーできるというワケです。
 
  「それって、単に
コストパフォーマンスが低いだけじゃないの?」
 という厳しい声が聞こえてきそうですね。
 はい、ハッキリ言いきっちゃいましょう。
 「モンスタニア」は、
コストパフォーマンスの低いゲームです。
 この「モンスタニア」の正直な感想は、まさしく「
物足りない」なのです。
 はじめてプレーしたときは、「もう終りか!?」と唖然となりましたわよ。
 「
金返せ!」とも思いました、俺。

  しかし考えてみてください。
 アナタは買ったマンガを読み返すことはありますね。
 1度観た映画をもう1度観ることもありますよね。
 でも、
ゲームはクリアしてしまったあとは売られてしまうのが世の常で、
 やりなおされることはほとんどありませんね
 (一部で「俺は違う!」という声も聞こえてきそうですが、
 たいていの場合はすぐに売り払われてしまってます)。
 その原因は、
壮大なストーリーがどうだとか、
 
キャラクターの成長がどうだとか、
 
武器のカスタマイズがうんぬんかんぬん、
 すべては「ゲームとして長い間楽しんでもらおう」という精神が生み出した
功罪にあります。
 「長い間楽しめる」=「プレー時間がかかる」というジレンマです。

  しかし、「モンスタニア」には壮大なストーリーもなければ
 派手なゲームシステムもございません。
 でもゲームとして、しっかり楽しめるンです。

  そんな「モンスタニア」を何かに例えるならば
 「短編集」というのがいちばんピッタリでしょう。
 忘れた頃に押し入れの中から引っ張り出してきて、もう1度プレーしたくなる、
 そんな
気軽なゲームなのです。
 もっとも、このゲームを
定価で買った人に対して心の底から同情してるのも事実ですけども。 


  〜余談〜
 ゲームソフトは、よっぽどの売上がないかぎり再販されないものです。
 「モンスタニア」はスーファミ末期に発売され、
 かつ発売前の期待度も低かったために初期出荷本数が少なかったのですが、
 某雑誌での評価が高かったために
 売り切れ続出→再販となった
珍しいゲームでもあります。
 参考までに。